パネライの時計修理(オーバーホール/電池交換)はどこに依頼がおすすめか

パネライの時計は、その独特のデザインとイタリア海軍との深い繋がりによって、世界中の多くの人々から愛されています。1860年にフィレンツェで創業したパネライは、軍用時計の製造で培われた高い技術力を持ち、その歴史は時計製造の分野においても独自性を持っています。
初期の代表作である「ラジオミール」や「ルミノール」は、大型ケースと高い視認性という独自のデザインを確立し、その唯一無二の存在感は、パネライの時計が単なる時間を知るための道具ではなく、身につける者の個性を際立たせるものであることを示しています。
しかし、どんなに高級なパネライの時計であっても、時が経つにつれてメンテナンスや修理が必要になります。
この記事では、大切なパネライの時計を長く愛用するために、修理の種類と費用相場、安心して修理に出すための注意点、メンテナンス方法につい解説します。
なお、私たち「はらじゅく時計宝石修理研究所」は、原宿に拠点を置く時計・宝石の修理専門店です。創業60年、年間30,000本以上の修理を手掛ける業界トップクラスの実績を誇り、その技術力は千原ジュニア様、トータルテンボス藤田様、五木ひろし様といった多くの著名な方々からも信頼をいただいています。
国家資格を持つ職人が、大手量販店で断られた難しい修理にも対応いたしますので、あなたの大切なパネライも安心してお任せください。
パネライの時計(オーバーホール/電池交換)はどこに依頼すべきか
パネライの時計を修理に出す場合、主に「パネライ正規サービス」と「時計修理専門店」の2つの選択肢があります。
それぞれのサービスには特徴があり、ご自身の状況や希望に合わせて最適な依頼先を選びましょう。
パネライ正規サービスでの修理
パネライのブティックに直接持ち込むか、公式サイトを通じてオンラインで修理を申し込むことができます。
正規サービスを利用する最大のメリットは、純正部品とパネライの専門知識を持つ技術者による修理を受けられるという安心感です。
パネライが定める高い品質基準に基づいた、信頼性の高いサービスが期待できます。
ただし、一般的に費用は高めで、納期も長くなる傾向があります。古いモデルや並行輸入品など、状態によっては修理を受け付けてもらえないケースもあります。
時計修理専門店での修理
街の時計修理店や、インターネットで郵送・宅配修理を受け付けている専門店に依頼する方法です。
時計修理専門店では、正規サービスと比較して修理費用を抑えられたり、納期が短縮される傾向にあります。
また、正規サービスで対応できない古いモデルや並行輸入品の修理に対応できる場合もあります。
ただし、店舗によって技術力にばらつきがあるため、信頼できる店舗を選ぶことが非常に重要です。モデルによっては純正部品の入手が困難な場合があり、その際は代替品や社外品での修理が提案されることがある点も考慮しましょう。
修理後の保証も店舗によって異なりますので、事前に必ず確認しましょう。
修理費用を抑えたい方や、比較的早く修理を完了させたい方は、信頼できる時計修理専門店の利用を検討すると良いでしょう。
特徴 | パネライ正規サービス | 時計修理専門店 |
メリット | 安心感、純正部品、専門技術、品質保証、公式アフターサービス | 費用を抑えられる可能性、短納期の場合あり、正規で断られた修理に対応できる可能性 |
デメリット | 費用が高い傾向、納期が長い場合あり、受付不可の場合あり | 技術力にばらつきあり、純正部品保証なしの場合あり、修理後メーカー修理不可の可能性 |
納期目安 | 数週間~数ヶ月 | 数日~数週間(内容による) |
費用目安 | 高め | 正規サービスより抑えられる場合が多い |
保証 | あり(国際保証、修理保証) | 店舗による(要確認) |
パネライの時計修理の種類と費用相場
パネライの時計の修理費用は、修理の種類や時計の状態によって大きく異なります。
ここでは、一般的な修理の種類と費用相場について解説します。
パネライのオーバーホール(分解掃除)
オーバーホールは、機械式・クォーツ式を問わず、定期的に行うべき重要なメンテナンスです。時計を分解し、部品の洗浄、交換、調整、注油、再組立、精度チェック、防水テストなどの作業を行います。
パネライ公式では、4〜5年に一度のオーバーホールが推奨です。
費用相場は依頼先によって異なり、正規サービスの場合はモデルにより異なりますが高額になるため、直接問い合わせが必要です。
一方、時計修理専門店では、クォーツ式で2万円~4万円程度、機械式(自動巻き)で3万円~6万円程度が目安ですが、複雑機構の場合は高額になります。
オーバーホールを怠ると、時計内部の潤滑油が劣化し、時間のずれや機能不良の原因となります。
また、部品が摩耗し、故障のリスクが高まり、結果的に修理費用が増加する可能性もあります。
最悪の場合、時計が完全に動かなくなってしまうこともありますので、定期的な実施が重要です。
パネライの電池交換
クォーツ式のパネライの時計は、電池が動力源であるため、電池が消耗すると交換が必要になります。パネライの時計の電池の平均寿命は一般的に2~3年です。
電池交換の費用相場も、依頼先によって異なります。
メーカーに依頼した場合、5,000円から1万円前後が目安です。時計修理専門店では、2,000円から5,000円程度が一般的です。
ホームセンターなどでも電池交換を依頼できますが、費用は比較的安く済むものの、パネライのような高級時計に対応できない場合や、提携の修理店での対応となることがあるため注意が必要です。
パネライの部品交換(ガラス、ベルト、リューズなど)
腕時計の継続使用に伴い、ガラスの傷・割れ、ベルトの破損・劣化、リューズの不具合などが発生することがあります。
その際の部品交換の費用は部品代と工賃がかかり、修理店や交換する部品によって異なります。
時計修理専門店での費用相場目安としては、ガラス交換が1万円~2万円程度(特殊形状やサファイアガラス等は高額に)、リューズ交換が1万円~2万円程度です。
ベルト交換は素材やデザインで大きく変動し、純正レザーベルトは数万円~、社外品なら数千円から選択肢があります。

こちらは、私たちがクラスプ部分(留め具部分)のバネが壊れてしまったとのことでお預かりしたものです。
約1週間で完了し、修理費用は14,300(税込)でした。
パネライの磁気抜き
時計が磁気を帯びると、時間の精度が狂ったり、止まってしまうことがあります。磁気帯びは、スマートフォン、パソコン、バッグの留め具など、身の回りにある磁気を発する製品に時計を近づけることで発生します。
磁気抜きは、専用の機械(脱磁器)を使用して時計に帯びた磁気を除去する作業です。
時計修理専門店で依頼した場合、費用相場は2,000円~3,000円程度です。オーバーホールに含まれることもあります。
磁気帯びを防ぐためには、普段から磁気を発する製品に時計を近づけないように注意することが大切です。
パネライ特有の修理とメンテナンス
パネライの時計は、堅牢な設計が特徴ですが、モデルによっては特有の注意点やメンテナンスが必要となる場合があります。
たとえば、ルミノールシリーズの特徴的なリューズプロテクターは、衝撃や強い力で破損する可能性があるため、取り扱いには注意が必要です。
また、パネライの時計は防水性能を重視した設計となっているため、定期的な防水検査やパッキン交換が重要になります。
パネライの時計を安心して修理するための注意点
大切なパネライの時計を安心して修理に出すためには、いくつかの重要な点に注意する必要があります。
修理期間の確認
修理を依頼する際には、修理期間の目安を確認しておきましょう。正規サービスの場合、オーバーホールには1ヶ月以上かかることが一般的です。
時計修理専門店では、それよりも早く完了する場合もあります。
ただし、修理の内容や部品の在庫状況によって期間は変動するため、急ぎの場合は事前に確認することをおすすめします。
修理保証の内容
修理を依頼する際には、保証期間と保証内容(保証対象外のケースも)をしっかり確認しましょう。正規サービスは通常2年(Pam.Guard登録で延長可)、修理専門店は1年が多いです。
一般的に、不適切な取り扱いによる損傷や故意の故障・不具合、ケースの製造番号が読み取れない場合、保証期間を超えた場合は保証対象外となります。
信頼できるパネライの時計修理店の選び方
信頼できる修理店を選ぶためには、いくつかのポイントがあります。
まず、パネライの修理実績が豊富であるかを確認しましょう。修理件数や対応可能なブランドなどを参考にすると良いでしょう。
また、在籍する技術者が国家資格(時計修理技能士)を保有しているかどうかも重要な判断基準となります。アフターサービスの充実度も確認しましょう。
修理後の保証があるか、無料見積もりや相談が可能か、宅配修理サービスがあるかなどを確認すると良いでしょう。
最後に、実際に利用した人の口コミや評判も参考に、信頼できる修理店を選びましょう。
パネライの時計を長く使うためのメンテナンス
パネライの時計を長く愛用するためには、日頃のお手入れと定期的なメンテナンスが欠かせません。
日頃のお手入れ
日常的なケアとして、まず柔らかく乾いた布(マイクロファイバークロスなど)で時計全体、特にケース裏やブレスレット(ストラップ)を優しく拭き、汗や皮脂汚れを取り除くことを習慣にしましょう。
汚れがひどい場合は、固く絞った濡れ布で拭き、その後乾拭きで水分を完全に除去します。ただし、非防水モデルは水濡れ厳禁です。
使用する上では、水・湿気(特にレザーストラップ)、強い衝撃、磁気(スマートフォン、PC、磁気アクセサリーなどから遠ざける)、極端な温度変化、化学物質(香水、化粧品、洗剤など)、長時間の直射日光などを避けるように注意しましょう。
保管方法
時計を保管する際は、高温多湿や直射日光を避け、風通しが良く、磁気の影響がない安定した場所を選びましょう。
購入時の箱や時計専用ケースでの保管が理想的です。複数の時計を保管する場合は、互いに接触して傷つかないように間隔を空けてください。
機械式時計は、長期間使用しない場合でも定期的にゼンマイを巻き上げることで内部の油の固着を防ぐ効果があります。
クォーツ式時計は、長期間使用しない場合は電池の液漏れリスクを考慮し、エルメス推奨の保管方法を確認するか、専門家に相談の上で電池を抜いておくことを検討しましょう。
定期的なメンテナンス
プロによる定期的なメンテナンスは、精度維持と寿命延長に不可欠です。
前述の通り、定期的なオーバーホールは時計の精度を維持し、寿命を延ばすために不可欠です(パネライ推奨は4~5年に一度)。
また、防水機能を維持するためには、2年ごとの定期的な点検を受けるか、時計の裏蓋を開けた場合はその都度検査を受けることが推奨されています。スポーツなどで水中で時計を使用する場合は、事前に年次点検を受けることをおすすめします。
クォーツ式時計の場合は、電池交換も定期的に必要で、2~3年ごとに行うのが目安です。パネライは、4~5年に一度のコンプリートリビジョンと、2~3年ごとのメンテナンスサービスを推奨しており、Pam.Guardの活用も推奨しています。パネライの時計を最高の状態に保つためには、パネライが推奨するメンテナンスを受けるようにしましょう。
パネライの時計でよくあるトラブル
パネライの時計でよくあるトラブルとその原因、対処法について解説します。
時計が動かない
クォーツ式の場合は電池切れが最も一般的ですが、内部回路の故障や磁気帯びも考えられます。
機械式の場合はゼンマイの巻き上げ不足やゼンマイ切れ、油切れ、部品破損、磁気帯び、水入りなどが原因として挙げられます。
対処法としては、クォーツ式ならまず電池交換を試し、改善しなければ磁気抜きや修理(オーバーホール等)を検討します。
機械式ならゼンマイを十分に巻き上げたり、しばらく装着して様子を見たりし、それでも動かなければ磁気抜きや修理(オーバーホール等)が必要です。
時間がずれる(遅れる・進む)
クォーツ式では電池消耗や磁気帯び、内部部品劣化、回路異常が考えられます。
機械式では磁気帯び、油切れ、部品摩耗、精度調整のずれ、衝撃によるヒゲゼンマイの異常などが原因となります。共通の対処法として磁気抜きを試します。クォーツ式は電池交換も試み、それでも改善しない場合は修理が必要です。
機械式の場合、磁気抜きで改善しなければ修理(オーバーホール、精度調整)を検討します。
日付が変わらない
カレンダー機構の歯車・部品の変形・破損、操作禁止時間帯(通常夜8時~朝4時頃)での日付変更操作、油切れなどが原因です。無理に操作せず、専門業者に修理を依頼しましょう。
リューズが回らない・操作できない・閉まらない
内部への汚れ・ゴミの侵入、錆び、部品の摩耗・破損、ねじ込み式リューズのねじ山の潰れなどが考えられます。無理に操作せず、専門業者に修理を依頼してください。
ガラス(風防)が割れた・傷ついた
落下や衝突が主な原因です。ガラス交換が必要となります。浅い傷なら研磨で目立たなくなることもありますが、割れてしまった場合は交換が必須です。
ベルト・ブレスレットが壊れた
経年劣化、金属疲労、ピンやバネ棒の緩み・破損、革の断裂などが原因です。ベルト・ブレスレットの交換、または修理(可能な場合)が必要です。
パネライを修理に出す前に確認すべきこと
修理に出す前には、いくつか確認しておくとスムーズです。
まず、保証書や購入証明書を確認しましょう。保証期間内であれば、無償または割引で修理を受けられる可能性があります。
また、時計の状態を写真に撮っておくと、修理前後の状態を比較する際に役立ちます。
可能であれば、複数の業者から修理の見積もりを取り、サービス内容や費用を比較検討するのも良いでしょう。その際は、修理店の評判や実績も確認することが重要です。
修理内容と費用について事前に問い合わせておくと、後々のトラブルを防ぐことができます。Pam.Guardへの登録状況を確認し、保証期間内であるかどうかも確認しましょう。
最後に、付属品(保証書、箱など)があれば、修理の際に一緒に提出すると良い場合があります。
定期的なメンテナンスでパネライを守ろう

パネライの時計を長く愛用するためには、定期的なメンテナンスと適切な修理が不可欠です。
この記事を参考に、あなたの時計に最適な修理方法を見つけてください。信頼できる修理店を選び、大切な時計を末永くご愛用ください。
私たち「はらじゅく時計宝石修理研究所」では、60年以上の実績や国家資格保持者・熟練職人の技術力、そして多店舗展開によるアクセスの良さなど、さまざまな強みを活かしながら、パネライをはじめとする多くの時計の修理を承っています。
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