モーリスラクロアのオーバーホール料金は?正規と修理専門店を徹底比較

こんにちは。はらじゅく時計宝石修理研究所、店長の天野 一啓です。
「手の届くラグジュアリー」というキャッチコピーの通り、洗練されたデザインとスイス製ならではの品質を兼ね備えたモーリス・ラクロア。特に2016年に復活を遂げた「アイコン(AIKON)」シリーズは、爆発的なヒットとなり、初めての高級時計として選ばれた方も多いのではないでしょうか。
しかし、素晴らしい時計であればあるほど、避けて通れないのがメンテナンス、つまりオーバーホールの問題です。購入時はデザインや価格に目が行きがちですが、いざ修理が必要になった時、「正規店に見積もりを出したら、想像以上に高額だった」「並行輸入品だと修理料金が高くなるって本当?」といった事実に直面し、戸惑うオーナー様が後を絶ちません。
実は、モーリス・ラクロアは日本市場において、購入ルートによるメンテナンス料金の格差、いわゆる「並行差別」が色濃く残るブランドの一つです。この仕組みを理解していないと、維持費で大きく損をしてしまう可能性があります。
この記事では、修理の最前線に立つ私の視点から、モーリス・ラクロアを長く、そして賢く使い続けるためのメンテナンス事情について、業界の裏事情も交えながら包み隠さずお話しします。
東京・渋谷エリアで修理をお考えなら、JR原宿駅から徒歩1分とアクセス抜群の「はらじゅく時計宝石修理研究所」にご相談ください。国家資格を持つ修理技能士が、あなたの愛用の時計を丁寧に診断し、最適なメンテナンスをご提案します。他店で断られた修理にも対応可能な場合がありますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
この記事でわかること
- モーリス・ラクロア特有の並行差別と正規料金の実態
- アイコンやポントスで発生しやすい具体的な故障事例と原因
- 正規サービスと時計修理専門店のメリット・デメリット徹底比較
- 東京で信頼できる修理工房を選ぶための重要なポイント
モーリスラクロアのオーバーホールの基本と実情

まずは、モーリス・ラクロアというブランドをメンテナンスする上で知っておくべき基本的なルールと、業界特有の事情について整理しておきましょう。特に「購入した場所」が維持費にどう影響するかは、オーナー様にとって切実な問題です。
モーリス・ラクロアのオーバーホールは何年ごとに受けますか?
機械式時計であるモーリス・ラクロアの場合、一般的には3年から5年に一度のオーバーホール(分解掃除)が推奨されています。これはメーカー公式のアナウンスでもありますが、毎日多くの時計の中身を見ている私としても、非常に理にかなった期間だと感じています。
「特に不具合はないし、まだ動いているから大丈夫」と思われるかもしれません。しかし、時計内部の微細なパーツに注油されている潤滑油は、時計を使っていてもいなくても、大体3〜4年ほどで経年劣化し、乾いてしまいます。油が切れた状態で金属同士が擦れ合うとどうなるでしょうか?
特にアイコンなどの3針モデルによく使われているムーブメント(Sellita SW200-1ベース)は、非常に信頼性が高い名機ですが、油切れの状態で手巻き操作を行うと、ゼンマイを巻き上げるための「切替車」というパーツが摩耗しやすい傾向があります。もし5年以上放置してしまうと、油切れによる摩耗粉がムーブメント全体に飛び散り、単純な洗浄と注油だけでは直らず、高額な部品交換がいくつも必要になってしまうのです。
定期的なメンテナンスは、結果としてトータルの維持費を抑えることにつながります。長期間放置した時計のリスクについては、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
10年間オーバーホールしなかった時計はどうなってしまうのか?
正規店へ依頼するメリットと注意点
正規サービスに依頼する最大のメリットは、何と言っても「100%純正部品による安心感」と「外装部品の供給」です。
時計の修理において、内部の機械パーツはある程度汎用品で代用できる場合もありますが、外装パーツは別です。例えば、アイコンの特徴であるベゼルの装飾ネジ(爪部分)、ブランドロゴ入りの専用リューズ、文字盤や針といった外装部品は、メーカーが外部への供給を厳しく制限しています。これらの部品が破損したり紛失したりしている場合は、事実上、正規サービス以外での完全な修復は不可能です。
複雑機構は正規店が安心
また、モーリス・ラクロアの真骨頂とも言える「マスターピース」コレクション、特にレトログラードやミステリアスセコンドといった複雑機構を搭載したモデルは、構造が極めて特殊です。一般的な修理店では調整ノウハウが不足していることが多く、正規店にお任せするのが最も安全で確実です。
ただし、注意点としては「納期」と「価格」が挙げられます。国内のサービスセンターで対応可能なモデルなら4〜6週間程度ですが、部品欠品や高度な修理が必要でスイス本国送り(コンプリートサービス)になると、手元に戻るまで3ヶ月〜半年かかることも珍しくありません。
並行差別の現状と価格への影響
ここがモーリス・ラクロアのオーナー様が一番気にされる、そして悩ましいポイントかと思います。結論からはっきり申し上げますと、モーリス・ラクロアには明確な「並行差別(正規差別)」が存在します。
「並行差別」とは、正規販売店以外(並行輸入店やネットショップ、海外購入など)で購入した時計に対して、メンテナンス料金を割高に設定する制度のことです。以前は「クラブ会員(正規購入者)は半額」といった非常に分かりやすい特典がありましたが、現在でもその実質的な格差は続いています。
正規店で購入し、会員登録を済ませたユーザーと、そうでない並行品ユーザーとでは、オーバーホール基本料金に約1.7倍もの価格差が生じることがあります。
| モデルタイプ | 正規品(会員価格目安) | 並行品(一般価格目安) |
|---|---|---|
| 3針オートマティック | 約29,700円〜 | 約79,500円〜 |
| クロノグラフ | 約46,200円〜 | 約107,000円〜 |
※価格はあくまで目安であり、改定される可能性があります。
ご覧の通り、約2倍という数字は決して小さくありません。並行輸入品を安く購入できたとしても、3〜5年ごとのメンテナンスのたびに数万円単位のペナルティが発生するのは、経済的にかなり痛手と言えるでしょう。この価格差が、多くのユーザーが私たちのような修理専門店を探すきっかけとなっています。
保証期間の確認と適用範囲について
修理に出す前に必ず確認していただきたいのが、お手元の保証書(ギャランティカード)の日付です。モーリス・ラクロアの国際保証期間は通常2年間ですが、正規店で購入し「モーリス・ラクロア クラブジャパン」に登録している場合など、キャンペーンや条件によっては延長保証が適用されているケースもあります。
自然故障(通常使用での止まりや大幅な遅れ・進み)であれば、保証期間内は無償修理の対象となります。この権利を使わない手はありませんので、まずは保証期間内かどうかをチェックしてください。
ただし、注意が必要なのは「保証対象外」のケースです。
例えば、落下による衝撃でガラスが割れたり内部パーツが破損した場合や、リューズの閉め忘れによる水入り(水没)などは、たとえ保証期間内であっても「ユーザーの過失」とみなされ、有償修理となるのが一般的です。もし保証期間が切れている、あるいは並行輸入品で高額な見積もりが予想される場合は、メーカーにこだわらず、私たちのような修理専門店を検討するベストなタイミングと言えるでしょう。
正規サービスと民間工房の違い
正規サービスと、私たちのような民間の時計修理専門店の違いを分かりやすく比較してみました。どちらが良い・悪いではなく、ご自身の時計の状態(外装破損の有無など)や予算に合わせて使い分けるのが賢い選択です。
| 項目 | 正規サービス (DKSH) | 時計修理専門店 (民間) |
|---|---|---|
| 部品の純正度 | 100%純正部品を使用 | 内部は純正またはジェネリック、外装は入手困難な場合あり |
| 料金体系 | 並行品は約1.7倍と高額設定 | 並行差別なし、正規(一般価格)の半額〜7割程度 |
| 納期 | 3ヶ月〜数ヶ月(スイス送りの場合) | 4週間〜6週間 (スピード重視) |
| 技術力 | メーカー基準の厳格な品質管理 | 店舗による差が大きい (1級技能士の有無が重要) |
| 外装研磨 | 新品同様の仕上げ (高価かつ期間が必要) | 日常使いレベルから新品仕上げまで対応 (安価で早い) |
専門店選びで失敗しないためのポイントは、この後のセクションで詳しく解説していきます。
東京・渋谷エリアで修理をお考えなら、JR原宿駅から徒歩1分とアクセス抜群の「はらじゅく時計宝石修理研究所」にご相談ください。国家資格を持つ修理技能士が、あなたの愛用の時計を丁寧に診断し、最適なメンテナンスをご提案します。他店で断られた修理にも対応可能な場合がありますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
モーリスラクロアのオーバーホール料金と依頼先

では、実際にメンテナンスを依頼する場合、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。ここからは具体的な料金相場や、モデルごとの不具合傾向、注意点について深掘りしていきます。
一般的な修理専門店の料金相場
私たちのような時計修理専門店に依頼する場合、最大のメリットは「並行差別がない」ことです。正規品だろうと並行輸入品だろうと、時計の機械としての構造は同じですので、料金は一律で設定されています。
一般的な相場としては、以下のようなイメージです。
- クォーツモデル: 3万円前後〜
- 3針オートマティック(アイコン等): 3万5千円〜6万円程度
- クロノグラフ(ポントス等): 5万5千円〜9万円程度
正規の並行品価格と比較すると、モデルによっては半額近く安くなるケースもあります。
「安かろう悪かろうではないか?」と心配される方もいらっしゃるかもしれませんが、特にアイコンやポントスに搭載されているムーブメントは、セリタ社製の汎用ムーブメント(SW200やSW500)をベースにしています。これらは時計業界のスタンダードとも言える機械であり、技術力のある専門店であれば、部品の入手も容易で、正規店と遜色ない品質で仕上げることが十分に可能です。
料金相場の詳細については、以下の記事も参考にしてみてください。
時計のオーバーホールの値段・相場はどれくらいか?メーカーごとに解説
アイコンなどのモデル別不具合事例
大ヒットモデルである「アイコン(AIKON)」ですが、数多くの修理を手掛ける中で見えてきた、このモデル特有の不具合傾向があります。
1. 自動巻きムーブメントの「切替車」トラブル
先ほども少し触れましたが、アイコンに搭載されているキャリバーML115(ベース:Sellita SW200-1)は、手巻き機構を多用すると「切替車」という歯車が摩耗しやすい弱点を持っています。リューズでゼンマイを巻く時に「ジャリジャリ」とした異音がしたり、ローターの回転が異常に重くなって一緒に回ってしまったりする場合は、このパーツの交換が必要です。
2. ベゼル爪(アーム)のネジ緩み・紛失
アイコンのデザインアイデンティティであるベゼルの6つの爪。実はこれ、裏側から小さなネジで固定されています。使用中の振動や衝撃でこのネジが徐々に緩み、気づかないうちに爪パーツごと脱落してしまう事例が散見されます。
この「ベゼル装飾パーツ」は正規店以外での入手が極めて困難です。もし紛失してしまうと、修理専門店では対応できず、正規店での高額な外装修理が必要になります。定期的にネジの増し締めを行うことが、予防策として非常に重要です。
壊れやすいパーツとメンテナンス
アイコンに限らず、機械式時計全般で最もトラブルが多いのが「リューズ」と「ガラスパッキン」周りです。
モーリス・ラクロアの時計は20気圧防水など高い防水性能を謳うモデルも多いですが、それはあくまで「パッキンが元気な状態」での話です。リューズのねじ込みが不十分だったり、ゴムパッキンが経年劣化して硬化していたりすると、湿気は容易に内部へ侵入します。
特に冬場、屋外から暖かい部屋に入った瞬間にガラスの内側が白く曇るような症状が出たら、それは「内部結露」のサインです。
「曇ったけどすぐ消えたから大丈夫」と放置するのは非常に危険です。内部に入った水分は逃げ場がなく、文字盤の塗装を腐食させたり、針やムーブメントに赤サビを発生させたりします。サビが発生すると、オーバーホールだけでなく多数の部品交換が必要になり、修理費用が跳ね上がります。曇りを見つけたら、一刻も早くメンテナンスに出すことを強くおすすめします。
信頼できる時計修理店の選び方
修理専門店は正規店に比べて安価で納期も早いのが魅力ですが、店舗によって技術レベルに大きな差があるのも事実です。大切な時計を預けるわけですから、「安さ」だけで選ばず、以下のポイントを基準に信頼できるお店を見極めてください。
- 純正部品の入手ルートがあるか: 安価な社外品ばかり使われると、時計の資産価値が下がってしまいます。
- 1級時計修理技能士が在籍しているか: 国家資格は技術力の最低限の保証です。
- 修理後の保証期間があるか: 通常、オーバーホール後半年間~の動作保証が付くお店が安心です。
- 外装研磨(ポリッシュ)の設備があるか: 専用のバフ機などを持ち、外装仕上げにこだわっている工房は、時計全体への扱いも丁寧な傾向があります。
店舗の選び方については、こちらの記事でも詳しく解説しています。迷われている方はぜひご一読ください。
モーリスラクロアのオーバーホールを依頼するなら
モーリス・ラクロアは、価格以上の価値を提供する素晴らしい時計ですが、維持管理においては「並行差別」という壁があり、ランニングコストが高くなりがちです。
「正規店で安心を買うか」「専門店でコストパフォーマンスを取るか」。この選択に正解はありませんが、もし保証期間が切れていたり、並行輸入品をお持ちで高額な修理代にお悩みだったりするなら、ぜひ一度、私たちのような専門店にご相談ください。
「はらじゅく時計宝石修理研究所」では、お客様の時計の状態を丁寧に診断し、ご予算やご要望に合わせて、純正部品の使用を含めた最適なプランをご提案します。
東京・渋谷エリアで修理をお考えなら、JR原宿駅から徒歩1分とアクセス抜群の「はらじゅく時計宝石修理研究所」にご相談ください。国家資格を持つ修理技能士が、あなたの愛用の時計を丁寧に診断し、最適なメンテナンスをご提案します。他店で断られた修理にも対応可能な場合がありますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
