カルティエの時計修理(オーバーホール/電池交換)はどこに依頼がおすすめか

カルティエの時計は、そのエレガントなデザインと卓越した宝飾技術によって、世界中の多くの人々から愛されています。1847年にパリで創業したカルティエは、有名な宝石店として「王様の宝石商、宝石商の王様」と言われ、その歴史は時計作りにおいても他に類を見ないものです。

初期の代表作である「サントス」や「タンク」は、時計の文字盤に角形という革新をもたらしました。その唯一無二の存在感は、カルティエが単なる時間を知るための道具ではなく、身につける芸術品であり、持つ人の個性を際立たせる特別なアクセサリーであると言えます。

しかし、どんなに高級なカルティエの時計であっても、時が経つにつれてメンテナンスや修理が必要です。

この記事では、大切なカルティエの時計を長く愛用するために、修理の種類と費用相場、安心して修理に出すための注意点、そして日頃のメンテナンス方法について解説します。

なお、私たち「はらじゅく時計宝石修理研究所」は、原宿に工房を構える時計と宝石の修理専門店です。創業60年以上の歴史と、年間30,000本以上という業界トップクラスの修理実績を誇ります。

国家資格を持つ熟練職人の確かな技術力は、千原ジュニア様、トータルテンボス藤田様、五木ひろし様といった多くの著名な方々からも信頼をいただいており、他店で断られた難しい修理にも対応可能です。あなたの大切なカルティエも、安心してお任せください。
» はらじゅく時計宝石修理研究所の詳細へ

目次

カルティエの時計修理(オーバーホール/電池交換)はどこに依頼すべきか

カルティエの時計を修理に出す場合、カルティエの正規サービスと民間の時計修理専門店の2つの選択肢があります。

それぞれの特徴を理解し、ご自身の状況や希望に合わせて最適な依頼先を選びましょう。

カルティエ正規サービスでの修理

カルティエの正規サービスは、カルティエのブティックに直接時計を持ち込むか、カルティエの公式サイトを通じてオンラインで修理を依頼できます(※オンライン依頼には「マイカルティエ」への登録が必要)

正規サービスを利用する最大のメリットは、純正部品とカルティエの専門知識を持つ技術者による修理を受けられる安心感です。

また、世界中のどの修理工房でも均一の品質のサービスが提供されることも魅力でしょう。ただ一方で、費用が高くなる傾向があり、修理完了までに長い期間を要する場合があることに注意が必要です。

まとめると、修理の安心感を最優先する方や、アンティークモデルや複雑機構の時計の修理を希望する場合には、正規サービスがおすすめです。

時計修理専門店での修理

街の時計修理店や、インターネットで郵送・宅配修理を受け付けている専門店に依頼する方法です。

時計修理専門店では、正規サービスと比較して修理費用を抑えられたり、納期が短縮されたりする傾向があります。
また、正規サービスで対応できない古いモデルや並行輸入品の修理に対応してくれる場合もあります。

ただし、店舗によって技術力にばらつきがあるため、信頼できる店舗を選ぶことが重要です。
モデルによっては純正部品の入手が困難な場合があり、その際は代替品や社外品での修理が提案されることがある点も考慮しましょう。

修理後の保証も店舗によって異なりますので、事前に必ず確認しましょう。

修理費用を抑えたい方や、比較的早く修理を完了させたい方は、信頼できる時計修理専門店の利用を検討すると良いでしょう。

特徴カルティエ正規サービス時計修理専門店
メリット安心感、純正部品、専門技術、均一な品質費用を抑えられる可能性、短納期の場合あり
デメリット費用が高い傾向、納期が長い場合あり技術力にばらつきあり、純正部品保証なしの場合あり
納期目安オーバーホール:約1~2ヶ月オーバーホール:約2週間~1ヶ月
費用目安高め正規サービスより抑えられる場合が多い
保証修理後2年間修理後1年間が多い

カルティエの時計理の種類と費用相場

カルティエの時計の修理費用は、修理の種類や時計の状態によって大きく異なります。

ここでは、一般的な修理の種類と費用相場について解説します。

カルティエの時計におけるオーバーホール(分解掃除)

オーバーホールは、機械式・クォーツ式を問わず、定期的に行うべき重要なメンテナンスです。時計を分解し、部品の洗浄、交換、調整、注油、再組立、精度チェック、防水テストなどの作業を行います。

カルティエ正規サービスでは、これを「コンプリートサービス」として提供しています。

推奨される頻度は、一般的に機械式時計で3~5年に一度、クォーツ式時計で4~6年に一度とされていますが、カルティエ公式サイトでは5年に一度のムーブメント点検を推奨しています。

費用相場は依頼先によって異なり、正規サービスの場合はクォーツ式で約41,580円から、機械式で約69,300円からが目安となります(モデルにより異なります)。

一方、時計修理専門店では、クォーツ式で約19,800円から、機械式で約36,000円からが相場となっています。

こちらは私たちが電池交換から早めに止まってしまったとの事でお預かりしたものです。内部に油劣化・汚れがございましたので、しっかりと分解掃除を致しました。

修理日数は約1ヶ月半ほどで、費用は43,780円(税込)でした。

オーバーホールを怠ると、時計内部の潤滑油が劣化し、時間のずれや機能不良の原因となります。

また、部品が摩耗し、故障のリスクが高まり、結果的に修理費用が増加する可能性もあります。最悪の場合、時計が完全に動かなくなってしまうこともありますので、定期的なオーバーホールが重要です。

カルティエの時計の電池交換

クォーツ式のカルティエの時計は、電池が動力源であるため、電池が消耗すると交換が必要になります。電池交換の費用相場も、依頼先によって異なります。

メーカーに依頼した場合、5,000円から1万円前後が目安です。購入から2年以内であれば、保証期間内として無料で交換してもらえる可能性があります。

時計修理専門店では、2,000円から5,000円程度が一般的です。

こちらは腕時計が止まってしまったとの事でお預かりし、電池交換をいたしました。

30分ほどで作業は完了し、費用は4,400円(税込)でした。

カルティエの時計の部品交換(ガラス、ベルト、リューズなど)

使用に伴い、腕時計のガラスの傷や割れ、ベルトの劣化、リューズの不具合などで部品交換が必要になることがあります。

費用は部品代と工賃がかかり、修理店や交換する部品によって異なります。例えば、リューズ交換の費用相場は、一般的に20,000円から30,000円程度とされています。

また、部品には純正部品と社外品があります。

正規サービスでは原則として純正部品が使用されますが、これは時計の価値を維持する上で望ましい選択です。
当店を含めて修理専門店でも純正部品を使用する場合が多いですが、入手困難な場合や価格が高騰している場合には社外品を提案されることもあります。

ただし、純正品以外の部品を使用すると、時計の資産価値に影響が出たり、将来的に正規サービスでの修理が受けられなくなったりする可能性があるため、メリット・デメリットを理解した上で選択する必要があります。

こちらは使用途中にぶつけてしまい、衝撃で割れてしまったとのことでお預かりしました。

修理日数は1ヵ月半で、修理価格は約13,000円(税抜)でした。

カルティエの時計の磁気抜き

カルティエの時計が磁気を帯びると、時間の精度が狂ったり、止まってしまうことがあります。
磁気帯びは、スマートフォン、パソコン、磁気ネックレスなど、身の回りにある磁気を発する製品に時計を近づけることで発生します。

磁気抜きは、専用の機械(脱磁器)を使用して時計に帯びた磁気を除去する作業です。
時計修理専門店で依頼した場合、費用相場は2,000円~3,000円程度です。オーバーホールに含まれることもあります。

磁気帯びを防ぐためには、普段から磁気を発する製品に時計を近づけないように注意することが大切です。

カルティエの特有の修理・メンテナンス

カルティエの時計には、一部のモデルで特有の修理やメンテナンスが必要となる場合があります。

例えば、パシャシリーズのリューズガードの留め具(鎖)が破損した場合、溶接による修理が可能ですが、溶接痕が残る可能性があります。

アンティークのマストタンクなど、ヴェルメイユ(シルバー925に金貼り)のモデルは、経年により黒ずみやすいという特徴があります。

この変色は、専用のクロスで磨くことで改善される場合がありますが、再メッキは一般的に行われていません。

また、パシャのブルースチール針は、湿気などが原因で変色することがあり、夜光塗料の塗り直しや、針自体の交換が必要になる場合があります。

リューズに装飾されているカボション(石)が取れたり、割れたりすることもカルティエの時計特有のトラブルと言えるでしょう。

もし紛失した場合、非純正品を取り付けると、将来的にメーカーでの修理が受け付けられなくなる可能性があるため注意が必要です。

カルティエの時計を安心して修理するための注意点

大切な時計を安心して修理に出すために、いくつか確認しておきたいポイントがあります。

修理期間の確認

修理にかかる期間の目安も事前に確認しましょう。

正規サービスでは数週間から数ヶ月、時計修理専門店では数日から数週間が一般的ですが、修理内容や部品の在庫状況によって変動します。

特に急ぎの場合や、使用したい予定がある場合は、その旨を伝えておくと良いでしょう。

修理保証の内容確認

修理後の保証の有無と内容についても、依頼前に必ず確認が必要です。

正規サービスでは通常1年程度の修理保証が付くことが多いですが(国際保証とは別)、修理専門店の場合は店舗によって保証期間や保証内容が異なります。保証が付かない場合や期間が短い場合もあります。

保証期間はもちろん、どのような不具合が保証対象となるのか(修理箇所と同じ原因か、自然故障かなど)、そして保証対象外となるケース(通常の使用による摩耗、事故、不適切な扱いによる故障など)を理解しておくことが重要です。

信頼できる時計修理店の選び方

信頼できる修理店を選ぶためには、いくつかのポイントがあります。まず、カルティエを含む、修理を依頼したいブランドの修理実績が豊富かどうかを確認しましょう。

実績のある店舗は、ブランド特有の構造や部品に関する知識・技術が高い可能性があります。

次に、国家資格(時計修理技能士)を持つ技術者が在籍しているかも、技術力を判断する上で参考になります。修理後の保証や無料点検、相談窓口といったアフターサービスの充実度も確認しましょう。

カルティエの時計を長く使うためのメンテナンス

カルティエの時計を長く愛用するためには、日頃のお手入れと定期的なメンテナンスが欠かせません。

日頃のお手入れ

日常的なお手入れとしては、柔らかい乾いた布(マイクロファイバーやセーム革など)で時計の表面を優しく拭くことが基本です。

ブレスレットの隙間に溜まった汚れは、柔らかい歯ブラシなどで丁寧に落としましょう。使用上の注意点としては、水濡れや湿気に注意し、お風呂やサウナ、雨の日などの使用は避けるべきです。また、強い衝撃や落下は故障の原因となるため避けましょう。

磁気を発する製品の近くに置かないこと、同じ腕にブレスレットなどを重ね付けしないことも大切です。

保管方法

適切な保管場所としては、温度と湿度が安定した場所を選びましょう。

適正温度は5~35度が目安です。直射日光や磁気を避け、振動や衝撃が加わる心配のない場所に保管してください。

湿気の多い場所(脱衣所など)や、乾燥剤、脱臭炭と一緒に保管することも避けるべきです。長期保管する場合は、柔らかい布で拭いてから、可能であれば購入時の箱やウォッチケースに入れると良いでしょう。

機械式時計の場合は、定期的に巻き上げるか、ワインディングマシーンを使用することをおすすめします。

クォーツ式時計で電池切れの場合は、液漏れを防ぐため早めに電池交換をしてから保管しましょう。

定期的なメンテナンス

プロによる定期的なメンテナンスは、精度維持と寿命延長に不可欠です。

前述の通り、定期的なオーバーホールは時計の精度を維持し、寿命を延ばすために不可欠です(カルティエ推奨は5年に一度)。

また、防水機能を維持するためには、定期的なパッキン交換が必要となります(オーバーホール時に実施されることが多いです)。

クォーツ式時計の場合は、電池交換も定期的に必要で、2~3年ごとに行うのが目安です。

カルティエは、5年に一度のムーブメント点検と、2年に一度のメンテナンスサービス(防水パッキン交換、電池交換など)を推奨しています。

カルティエの時計でよくあるトラブル

カルティエの時計は、モデルごとに特有の魅力がありますが、使用状況や経年変化により、トラブルが起こることがあります。代表的なモデルでよく見られるトラブル、その原因と対処法を解説します。

カルティエ タンク フランセーズ

カルティエの定番モデルであるタンク フランセーズは、角張ったケースとメタルブレスレットの上品なデザインが魅力ですが、長く使っているとブレスレットのピンが緩んだり、外れやすくなることがあります。これは日常の衝撃や金属の劣化が原因と考えられます。

また、クォーツモデルでは電池切れが原因で止まることが多くあります。電池交換は基本的な修理ですが、それでも動かない場合は回路の不具合などが疑われます。

カルティエ パンテール ドゥ カルティエ

パンテールは、ブレスレットの滑らかなつながりとジュエリー感が特徴ですが、コマの一つひとつが小さいため、長く使うとつなぎ目が緩みやすくなることがあります。

また、こちらもクォーツ式のモデルが多く、時間が狂ったり止まったりする原因の多くは電池の消耗です。電池交換はもちろん、交換しても動かない場合は、回路トラブルや湿気の侵入などが影響している可能性があります。

カルティエ バロン ブルー ドゥ カルティエ

丸みを帯びたケースと、リューズを覆うようなガードが特徴のバロン ブルーは、見た目の美しさと使い勝手が共存するモデルですが、自動巻きタイプでは、動かす頻度が少ないと中のゼンマイが十分に巻かれず、時間が遅れることがあります。

特に日中に腕をあまり動かさない生活をしている場合は、たまに手でリューズを巻いてあげるか、ウォッチワインダーの使用を検討すると良いでしょう。それでも改善しない場合は、内部の精密な調整が必要です。

定期的なメンテナンスでカルティエの時計を守ろう

はらじゅく時計宝石修理研究所

カルティエの時計を長く愛用するためには、定期的なメンテナンスと適切な修理が不可欠です。信頼できる修理店を選び、大切な時計を長く使いましょう。

私たち「はらじゅく時計宝石修理研究所」では、60年以上の実績や国家資格保持者・熟練職人の技術力など、さまざまな強みを活かしながら、カルティエをはじめとする多くの時計の修理を承っています。

「大切な時計を長く愛用したい」「他店で断られてしまった故障をなんとかしてほしい」など、お困りの際はぜひ一度ご相談ください。当店はJR原宿駅から徒歩1分の立地で、あなたのカルティエを最高の状態でお使いいただけるよう、心を込めてサポートいたします。
» はらじゅく時計宝石修理研究所の詳細へ

 この記事を書いた人        

⚪︎⚪︎のアバター 天野 一啓 はらじゅく時計宝石修理研究所 店長

2018年4月に時計宝石修理研究所へ入社。現在は「はらじゅく時計宝石修理研究所」の店長として、店舗運営と接客、修理対応を担う。厚生労働省認定の国家時計修理技能士資格を取得し、大阪府から時計技能最高優秀賞を受賞。

お客様の大切な想い出が詰まった時計やジュエリーに向き合い、安心して預けられる存在を目指す。スイスの老舗時計工具メーカー・BERGEON(ベルジョン)とのコンセプトショップも展開し、時計修理の魅力発信にも注力。

目次