ランゲアンドゾーネのオーバーホールの料金と失敗しない依頼先

: ランゲアンドゾーネのオーバーホールと維持管理に関する解説スライドの表紙

こんにちは。はらじゅく時計宝石修理研究所の店長、天野一啓です。

ドイツ機械式時計の最高峰であるランゲアンドゾーネですが、いざメンテナンスを考えたときにオーバーホールに関しての料金や期間の目安、そして正規のサービスに依頼すべきか専門店の評判はどうなのかなど、色々と検索して悩まれる方も多いですよね。

また、維持費の頻度や壊れやすいといった噂に関する不安を抱えている方もいらっしゃるかもしれません。

この記事ではランゲアンドゾーネのオーバーホールに関するあらゆる疑問を解消し、大切な時計を長く美しく愛用するための最適な選択肢について、私自身の経験も交えながらわかりやすくお伝えします。

※もし、ランゲアンドゾーネのオーバーホールで「近所の店では取り扱いブランド外だから断られてしまった」「特殊構造の時計なので部品がないと言われた」「もっと専門的なアドバイスが欲しい」とお困りの場合は、創業60年・年間修理実績3万本以上の私たち東京・渋谷区の「はらじゅく時計宝石修理研究所」にも是非ご相談ください。

JR原宿駅(竹下口改札)から徒歩1分の場所にございます。国家資格を持つ技能士が、あなたの大切な時計を一本一本丁寧に修理させていただきます。

 

この記事からわかること

  • ランゲアンドゾーネのムーブメントが持つ特殊な設計と技術的リスク
  • 正規サービスと腕時計修理専門店の具体的な料金と納期の違い
  • 手巻き時計特有の弱点と日常で注意すべきケア方法
  • 大切な愛機を安心して預けられる優良な修理工房の見極め方
目次

ランゲアンドゾーネのオーバーホールの特徴

A.ランゲ&ゾーネのタイムピースは、単なる時間計測の道具を超えた至高の芸術作品として世界中のコレクターから愛されています。しかし、その圧倒的な美しさと精緻な機構を維持するためには、他の高級時計ブランドとは一線を画す極めて特殊なメンテナンスアプローチが必要になります。まずは、このブランドならではの技術的な特徴とオーバーホールの難しさについて詳しく見ていきましょう。

サクソニアのメンテナンスと基本設計

ランゲアンドゾーネのムーブメントに採用される洋銀(ジャーマンシルバー)の特性と、二度組みの複雑な構造による技術的リスク

A.ランゲ&ゾーネのコレクションの中でも、一切の無駄を削ぎ落とした純粋な美しさで知られる「サクソニア」ですが、その内部にはブランドの哲学が凝縮された驚異的なムーブメントが搭載されています。サクソニアをはじめとするランゲの時計の最大の特徴は、ムーブメントの地板や受けパーツに「洋銀(ジャーマンシルバー)」と呼ばれる特殊な合金を採用している点です。スイス製の高級機械式時計の多くは、加工しやすい真鍮(黄銅)をベースにして、その上に酸化やサビを防ぐためのロジウムやゴールドのメッキを施しています。しかし、ランゲアンドゾーネは素材そのものが持つ優れた剛性と、年月を経るごとに温かみのある黄金色へと変化していく「パティナ(経年変化)」の美しさを追求するため、あえて表面にメッキ処理を一切施さない「洋銀無垢」の状態で使用しているのです。

この洋銀無垢の美しさは唯一無二ですが、メンテナンスを行う修理技術者にとっては極めて高いハードルとなります。洋銀は非常に柔らかくデリケートな素材であるため、ドライバーやピンセットなどの硬い工具がほんの少し触れただけでも、修復困難な深いひっかき傷が残ってしまいます。さらに恐ろしいのは、メッキによる保護膜がないため、人間の指から分泌されるごくわずかな皮脂や汗、さらには呼吸に含まれる湿気が付着しただけでも、その部分が急速に酸化して永久的なシミ(変色)になってしまうことです。そのため、分解や組み立ては厳格に温度と湿度が管理された環境下で行い、指サックなどを完全着用した上で、信じられないほどの集中力をもって作業に当たらなければなりません。私は1級時計修理技能士として日々さまざまなムーブメントと向き合っていますが、ランゲアンドゾーネの洋銀製パーツの取り扱いには、他のスイス製高級時計とは全く異なる次元の繊細さが要求されると痛感しています。

この特殊な設計思想と複雑な構造を理解していただくために、まずはこちらの図解イメージをご覧ください。

そしてもう一つ、オーバーホールの難易度を極限まで高めているのが、ブランドの代名詞でもある「二度組み(Twofold Assembly)」という独自の製造プロセスです。ランゲでは、一度すべてのパーツを無装飾の状態で組み上げて動作や噛み合わせを完璧に調整した後、再び時計を完全にバラバラに分解します。その後、超音波洗浄を行ってから手作業で美しいエングレービング(彫金)や面取りを施し、青焼きビスを用いて最終的な組み立てを行うのです。この作業を支える「4分の3プレート」と呼ばれる大きな一枚板の洋銀製プレートは、複数の歯車の細い軸を寸分の狂いもなく同時に収めなければならないため、熟練の時計師でなければ扱うことができません。サクソニアのようなシンプルな3針モデルであっても、オーバーホール時にはこの複雑な構造を紐解き、再び完璧な精度で組み上げる「再現性」が求められるため、非常に高度な技術と長い時間が必要となるわけですね。

ランゲ1など主要モデルの修理料金

ランゲアンドゾーネを所有し続ける上で、オーナー様が最も気になるポイントの一つが、定期的なオーバーホールにかかる修理料金の目安かと思います。時計のコンディションを保つためには避けて通れない維持費ですが、依頼先によってその金額は大きく異なります。ここでは、ブランドのアイコンである「ランゲ1」をはじめとする主要モデルについて、リシュモン ジャパンが運営する「正規サービス」と、高い技術を持つ「腕時計修理専門店」での料金目安を比較してみたいと思います。

モデル名 / 機構仕様 正規サービス料金 修理専門店料金 正規サービスの納期 専門店の納期
サクソニア (手巻き) 約140,000円〜 約80,000円〜 通常20週間 5〜8週間
1815 (手巻き) 約145,000円〜 約85,000円〜 通常20週間 5〜8週間
ランゲ1 約180,000円〜 約90,000円〜 通常20週間 5〜8週間
1815 クロノグラフ 約260,000円〜 約130,000円〜 通常20週間 5〜8週間
ダトグラフ 約350,000円〜 約200,000円〜 通常30週間 3〜4週間
ツァイトヴェルクなど複雑機構 個別見積もり 個別見積もり 30週間以上(本国送り) 個別見積もり

料金に関する重要なお知らせ:
上記の表に記載している金額や納期は、あくまで比較的軽度な基本作業を前提とした一般的な目安です。実際の時計のコンディション、交換が必要となるパーツの点数、ケース素材、そして価格改定のタイミングなどによって、大幅に追加費用が発生するケースが多々あります。正確な情報は公式サイトをご確認ください。

近年、ランゲアンドゾーネの正規サービスにおけるメンテナンス費用は、世界的な価格統合やサービスの高度化に伴い、上昇傾向にあります。正規サービスでは単なる分解掃除にとどまらず、ライトポリッシュやレーザー溶接技術を用いたディープな外装修復、すべての防水パッキンの交換が標準セットになった「コンプリートサービス」として提供されるため、高額になる傾向があります。一方で、当店のような腕時計修理専門店であれば、外装の研磨をオプションとして切り離し、純粋にムーブメントの分解掃除と注油だけを行う「基本オーバーホール」を選択することが可能です。これにより、正規料金の約半額程度でメンテナンスを完了できるケースも少なくありません。それぞれの料金相場や選び方の基準についてさらに詳しく知りたい方は、ぜひこちらの時計のオーバーホールはどこで?正規店と専門店の料金・選び方の記事もあわせてご覧になってみてください。

手巻き特有の振動によるトラブルと対策

手巻き時計における極小ネジの緩みや、自動巻きローターが存在しないことによる外部からの振動リスク

ランゲアンドゾーネのタイムピースを語る上で欠かせないのが、サファイアクリスタルのシースルーバックから鑑賞できる、息を呑むほどに美しい手巻きムーブメントの存在です。毎朝、静かな空間でリューズをカリカリと巻き上げる時間は、機械式時計を所有する醍醐味であり、時計との対話を楽しむ至福のひとときですよね。しかし、この手巻き機構だからこそ抱える特有の弱点や、日常使用における避けられないトラブルのリスクについても、オーナー様にはぜひ知っておいていただきたいのです。

自動巻き(オートマティック)の時計には、腕の動きに合わせて回転する半月型の「ローター」という重りが搭載されており、このローターが外部からの衝撃をある程度吸収・分散してくれるクッションのような役割を果たしています。しかし、手巻き時計にはこのローターが存在しないため、腕の振りや外部からの振動が、極小のパーツが密集するムーブメントの深部にまでダイレクトに伝わってしまうという構造的な特徴があります。そのため、スポーツや激しい運動をしていなくても、毎日の通勤電車での振動、デスクワークでキーボードを強く叩く衝撃、あるいは拍手といった日常の「微細な振動の蓄積」によって、長い時間をかけて内部の極小ネジが少しずつ緩んでしまう現象が頻繁に起こり得るのです。

この手巻き特有のトラブルを防ぐための最も効果的な対策は、まず大前提として、ゴルフ、テニス、野球といった腕に瞬間的な強いG(重力加速度)がかかるスポーツを行う際や、自転車やバイクの運転、日曜大工で電動工具を使用する際などには、絶対に時計を着用しないことです。そして何より重要なのが、潤滑油が乾き始める「4〜5年に一度」の適切な周期でオーバーホールに出すことです。定期的な分解掃除の際には、技術者がすべてのネジのトルクを確認し、緩みが発生していないかを細かくチェックするため、突発的な停止トラブルを未然に防ぐことができるのです。

壊れやすいという評価の真実と耐久性

厚みのある4分の3プレートによる堅牢な内部構造と、落下事故によるプレシャスメタルケースの変形や高額な修理費用のリスク

インターネットの掲示板やSNS、時計愛好家のブログなどを覗いていると、時折「ランゲアンドゾーネの時計は壊れやすい」「美しさと引き換えに耐久性を犠牲にしているのではないか」といった評価を目にすることがあるかもしれません。これから高額な投資をしてランゲを手に入れようと検討している方にとって、この「壊れやすさ」の噂は非常に気になるポイントですよね。専門家の視点から、この噂の真実と、ランゲの時計が持つ本当の耐久性について深く掘り下げて解説いたします。

まず結論から申し上げますと、ランゲアンドゾーネのムーブメントは決して「ひ弱で壊れやすい機械」ではありません。むしろ、オーデマ・ピゲ(AP)やF.P.ジュルヌといった同価格帯の超高級マニュファクチュール・ブランドの作品と比較すれば、4分の3プレートという堅牢な構造を採用していることもあり、機械的な耐久性は非常に高い水準にあると評価されています。しかし、ここで誤解してはいけないのは、ランゲの時計はあくまで「極限まで磨き上げられた芸術的・精密機械」であって、ロレックスのオイスターケースに代表されるような「過酷な環境に耐えうる実用時計」とは根本的にコンセプトが異なるということです。実用時計と同じような感覚で雑に扱えば、当然のことながら簡単に不具合を引き起こしてしまいます。

ランゲアンドゾーネを扱う上で最も恐れなければならないのが、「落下による物理的な衝撃」です。ランゲの時計は、そのほとんどが18Kゴールド(ピンクゴールド、ホワイトゴールド等)やプラチナといった、極めて柔らかく重いプレシャスメタルで作られています。そのため、テーブルから床へ落としたり、硬い壁に強くぶつけたりすると、ケースには簡単に深い凹み(打痕)が生じ、衝撃で美しいラグがひん曲がったり折れたりする危険性があります。さらに、外装だけでなく内部機構へのダメージは壊滅的です。

私の子どもも2024年生まれで今はまだ小さいのですが、いずれ大きくなった時にこういった素晴らしい手作りの機械式時計を譲り渡せたら素敵だなと日々感じています。そのためには、世代を超えて受け継ぐための正しい耐久性の理解と、日々の優しい扱いが絶対に欠かせませんね。時計を着脱する際は立ったまま行わず、必ずベッドやソファ、柔らかいマットを敷いたテーブルの上で行う習慣をつけてください。なお、正規サービスの修理に対する基本理念や姿勢については、(出典:A. Lange & Söhne公式サイト『カスタマーサービス』)をご参照いただくと、ブランドがいかに時計の長期的な保存に力を入れているかが深く理解できるかと思います。

防水性能を保つための定期的な検査

日常生活用防水のデリケートな構造と、ゴム製パッキンの経年劣化・硬化に伴う湿気侵入のリスク

機械式時計を長く健康な状態で使い続けるために、ムーブメントの分解掃除と同じくらい重要視しなければならないのが「防水性能の維持」です。ランゲアンドゾーネの時計を愛用する上で、水分の侵入はまさに致命傷となり得ます。ここでは、防水性能に関する正しい知識と、それを維持するための具体的な検査の必要性について詳しくお話しします。

ランゲアンドゾーネの多くのクラシックなドレスウォッチ(サクソニア、1815、ランゲ1など)は、仕様上の防水性能が「3気圧(3バール)」に設定されています。これは、時計業界の基準で言えば「日常生活用防水」に該当しますが、実際のところは「汗や、ちょっとした手洗いの際のわずかな飛沫ならギリギリ耐えられるかもしれない」程度の、非常にデリケートな防滴構造だと認識しておくべきです。決して、時計を着けたまま勢いよく水道の蛇口で手を洗ったり、ましてやシャワーを浴びたり、豪雨の中で使用したりして良いスペックではありません。スポーツラインとして登場した「オデュッセウス」であれば12気圧という高い実用防水性を誇りますが、それでも油断は禁物なのです。

なぜなら、どれほど密閉性の高いケース設計であっても、水分の侵入を防いでいるのはリューズの内部や裏蓋の隙間に挟み込まれている「ゴム製のOリング(パッキン)」だからです。このパッキンは、素材の性質上、時間の経過とともに空気に触れて酸化し、次第に柔軟性を失ってカチカチに硬化してしまいます。硬化したパッキンはケースとの間に目に見えない極小の隙間を生み出し、そこから湿気や手洗いの水分がジワジワと時計内部に侵入していきます。先ほども触れましたが、ランゲのムーブメントはメッキ保護されていない「洋銀」で作られているため、わずかな湿気が入り込んだだけでも、一瞬にして美しい黄金色のパーツが変色し、赤錆が発生してしまいます。一度発生した洋銀のシミや変色は、どれだけ高度な洗浄技術をもってしても二度と元の美しい状態に戻すことはできません。

梅雨の時期や汗をかきやすい夏場を迎える前に、パッキンの状態をチェックしておくことが、大切なランゲアンドゾーネを守るための最良の防衛策となります。最終的な判断は専門家にご相談ください。

東京でランゲアンドゾーネのオーバーホールの依頼なら実績のある「はらじゅく時計宝石修理研究所」へ

ランゲアンドゾーネのオーバーホール依頼先

ここまで、ランゲアンドゾーネの時計がいかに特殊で繊細な構造をしているか、そしてなぜ高額な修理費用がかかるのかについて解説してきました。ここからは、実際に愛機をメンテナンスに出す際、どこへ依頼するのがベストなのか、そして依頼するまでの間に日頃からご自身でできるケアについて詳しく整理していきましょう。

ベルト交換など日常ケアにおける注意点

裏蓋の開封禁止、強力な磁気への接近回避、ワニ革ストラップの水分対策など、日常で徹底すべき時計ケアの原則

オーバーホールという大掛かりなメンテナンスが必要になるまでの間、愛機のコンディションを良好に保ち、寿命を最大限に延ばすためには、オーナー様ご自身による日々の小さなケアが非常に重要な役割を果たします。特に革ベルトの取り扱いや、見落としがちな磁気の影響など、日常の中で注意すべき具体的なポイントをいくつかご紹介します。

まず第一に注意したいのが、ランゲアンドゾーネの多くのモデルに標準装備されている最高級の「アリゲーター(ワニ革)レザーストラップ」の取り扱いです。革ベルトは見た目の高級感や上品さを演出する上で欠かせない要素ですが、素材の特性上、水分や汗を極端に嫌います。汗をかいたまま放置したり、手洗いの際に水はねが付着したりすると、革の内部に水分が浸透して急速に劣化が進み、ひび割れや悪臭の原因となってしまいます。着用後は、必ず乾いた柔らかいマイクロファイバークロスなどでベルトの裏側を優しく拭き取り、風通しの良い日陰で休ませるようにしてください。夏場や汗をかきやすい日は、あらかじめ時計の着用を避けるか、耐久性の高いラバーベルトなどへの一時的な交換も検討すると良いでしょう。

日常ケアで絶対にやってはいけないNG行動:

  • 裏蓋を自力で開ける行為: シースルーバックから覗く美しいムーブメントをもっと近くで見たい、あるいは自分で歩度調整(精度の微調整)をしてみたいという好奇心から、専用工具を買って自力で裏蓋を開けようとする方がごく稀にいらっしゃいますが、これは絶対にやめてください。わずかなチリや空気中の湿気が侵入するだけで洋銀が変色し、取り返しのつかないダメージに直結します。
  • 強力な磁気への接近: 現代の生活空間は「磁気」で溢れています。スマートフォン、ノートパソコンのスピーカー部分、タブレットのマグネット式カバー、バッグの留め具などに時計を密着させないでください。内部の金属パーツが磁気を帯びる(磁気帯び)と、テンプの動きが乱れ、時計が1日に数十分も進んだり遅れたりする深刻な精度不良を引き起こします。
  • 付属品(ルーペ)の危険な放置: ランゲの時計を購入すると、美しいムーブメントを鑑賞するための専用ルーペ(拡大鏡)が付属することがあります。このルーペを直射日光の当たる窓際などに放置すると、虫眼鏡で太陽の光を集めるのと同じ「収斂(しゅうれん)火災」を引き起こす危険性があります。保管場所には十分に注意してください。

ベルトが傷んできた際の交換や、磁気帯びの検査などは、信頼できる時計修理専門店であればすぐに診断と対応が可能です。日常のちょっとした違和感でも放置せず、早めにプロフェッショナルへ相談する習慣をつけることが大切です。

料金と納期を正規サービスと専門店で比較

オーバーホールの依頼先を選ぶ際、最も頭を悩ませるのが「メーカーの正規サービスにお願いするべきか、それとも街の腕時計修理専門店に依頼するべきか」という問題ですよね。ランゲアンドゾーネが所属するリシュモングループのサービス体制は非常に優れていますが、専門店のメリットも決して無視できません。両者の決定的な違いを、具体的な料金と納期の観点から比較してみましょう。

まず、ランゲアンドゾーネを所有する上で知っておくべき素晴らしい事実として、「並行差別(メンテナンス差別)が一切存在しない」という点が挙げられます。一部の時計ブランドでは、海外の並行輸入店で購入した時計に対して正規の修理料金を割高に設定したり、そもそも修理を受け付けなかったりする厳しいルールを設けています。しかし、ランゲアンドゾーネの場合、国内の直営ブティックで購入した正規品であっても、海外で買い付けられた並行輸入品であっても、すべて同一の適正価格で、平等に高品質なメンテナンスを受けることができます。これは中古市場で時計を購入された方にとっても、非常に安心できる要素ですよね。

では、正規サービスと専門店の具体的な違いを見ていきましょう。

比較項目 正規サービス 腕時計修理専門店(優良店の場合)
サービスの内容 完全なコンプリートサービス(ムーブメント分解掃除に加え、外装修復や全パッキン交換がセット化) ムーブメントの分解掃除に特化(外装の研磨や傷取りは希望に応じてオプション追加が可能)
料金の目安 非常に高額(シンプルな手巻きモデルでも11万円〜、基本料金が高く設定されている) リーズナブル(正規料金の約半分程度から可能、無駄な作業を省いてコストを抑えられる)
納期の目安 通常20週間以上。部品の取り寄せや複雑機構の場合はドイツ本国送りとなり半年以上かかることも 通常5〜8週間。国内の自社工房で完結するため、スピーディに手元に戻ってくる

正規サービスは、「どれだけお金と時間がかかっても良いから、時計を新品購入時と全く同じ完璧な状態に戻してほしい」と考える完璧主義のオーナー様にとって最適な選択肢です。一方で、ケースに刻まれた小傷も自分自身の歴史や味として残しておきたい、できるだけ早く手元に時計を戻して日常的に使いたい、そして何より維持費のコストパフォーマンスを重視したいという方には、修理専門店への依頼が強く推奨されます。オーバーホールの基礎知識や専門店のメリットについては、こちらの時計のオーバーホールとは?内容や頻度、費用をプロが解説の記事もぜひお役立てください。

保証期間や対応範囲に見られる決定的な差

料金と納期の違いに加えて、修理が完了した後の「アフターサポート」や、見積もり段階での「対応範囲の広さ」にも、正規サービスと腕時計修理専門店とでは明確な違いが存在します。時計は直して終わりではなく、直した後の数年間を安心して使えるかどうかが非常に重要になりますので、この保証期間の差についてはしっかりと理解しておきましょう。

正規サービス最大のメリットとも言えるのが、圧倒的な手厚さを誇る「24カ月間(2年間)のメーカー保証」の存在です。正規ルートでコンプリートサービスを受けた時計には、修理完了後に「サービスログ(修理履歴)」が発行され、そこから丸2年間にわたって、通常の自然故障に対する保証が約束されます。ランゲのオーバーホール推奨周期が約4〜5年であることを考えると、次のメンテナンス時期までの半分近い期間をメーカーの強固な保証のもとで過ごせるというのは、何物にも代えがたい精神的な安心感をもたらしてくれます。また、この正規の修理証明書は、将来的に時計を売却したり子どもへ譲ったりする際に、「確実に本物であり、正しいメンテナンスを受けてきた個体である」ことを証明する強力なツールとなり、資産価値(リセールバリュー)の維持にも直結します。対して、一般的な修理専門店の保証期間は、作業完了後から半年間に設定されていることがほとんどです。

さらに、A.ランゲ&ゾーネはパテック・フィリップのように「永久修理」を大々的に公式宣言しているわけではありませんが、1994年のブランド復興以降に製造された近代モデルに関しては、純正パーツの供給が可能な限り、また仮にパーツが枯渇しても本国ドイツの自社工房でパーツを新規製造して対応するなど、実質的に永久修理に近い極めて良心的な対応を行っていることで知られています。この歴史的価値を守り抜く姿勢は、正規サービスならではの絶対的な強みと言えるでしょう。

ブログで確認したい優良な工房の条件

正規サービスの料金が高すぎると感じたり、数ヶ月も時計を手放したくないという理由から「腕時計修理専門店」への依頼を決断した場合、次に立ちはだかるのが「数ある修理業者の中から、どこを信頼すれば良いのか」という問題です。ランゲアンドゾーネのような特殊でデリケートな時計は、その辺の安売りチェーン店に任せると取り返しのつかない事故につながります。後悔しないために、各店舗のホームページや修理ブログを通して確認すべき「優良工房の3つの絶対条件」を伝授いたします。

条件は、「国家資格である1級時計修理技能士が在籍し、実際に作業を行っているか」です。時計の修理業界には様々な民間資格が存在しますが、厚生労働省が認定する1級技能士は、長年の実務経験と極めて高度な技術試験をパスした本物のプロフェッショナルの証です。受付だけを自社で行い、実際の作業は外部の下請け業者に丸投げしているような不透明な業者ではなく、自社の工房で責任を持って技能士が分解掃除を行っている店舗を選ぶことが大前提となります。

過去の修理実績がブログで公開されているか:
そして三つ目の最も重要な条件が、その工房のブログや修理事例ページに「ランゲアンドゾーネのオーバーホール実績が具体的かつ詳細に掲載されているか」です。「なんでも直せます」と謳っていても、実際にランゲ特有の二度組み構造や4分の3プレートの調整を行った経験がなければ意味がありません。分解中の写真や、どのような不具合をどうやって解消したのかという技術的な解説が豊富に掲載されている工房は、自社の技術力に確固たる自信を持っている証拠であり、安心して大切な時計を任せることができるでしょう。

ランゲアンドゾーネのオーバーホールは「はらじゅく時計宝石修理研究所」へ

ここまで、ランゲアンドゾーネのオーバーホールに関する専門的な知識や、正規店と専門店の違いについて長々とお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか。極めて複雑で美しい機構を持つ時計だからこそ、維持していくための正しい知識と愛情が必要不可欠であることがお分かりいただけたのではないかなと思います。

もし、今お手元にあるランゲアンドゾーネの調子が少しおかしいと感じていたり、購入から4〜5年が経過してそろそろオーバーホールの時期を迎えていて、どこに相談すれば良いか迷われているのであれば、ぜひ私たち「はらじゅく時計宝石修理研究所」にご相談ください。

当店には、時計の構造を知り尽くした国家資格・1級時計修理技能士をはじめとする、確かな技術と情熱を持った熟練の職人たちが在籍しております。ランゲの象徴である洋銀ムーブメントの取り扱いに精通しており、徹底されたクリーンな環境下で、傷一つつけないよう細心の注意を払いながら、一つひとつのパーツを丁寧に分解・洗浄・注油・調整いたします。お客様がこれまでその時計とともに刻んできた大切な思い出やストーリーに深く寄り添いながら、新品の時のように美しく力強い鼓動を再び吹き込むお手伝いをさせていただきます。

「最近、ゼンマイの巻き上げが少し重く感じる」「手巻き時計特有のネジ緩みが心配だ」「水に濡らしてしまったかもしれない」など、日々の着用において疑問に思う些細なご不安でも構いません。時計のことで悩んだら、どんなことでもお気軽にお声がけください。お客様のライフスタイルに合わせた最適な修理プランと、良心的な適正価格でお見積もりをご提案させていただきます。

何世代にもわたって受け継いでいける素晴らしい芸術品であるランゲアンドゾーネ。その時計に眠るすべての思い出とともに、愛機を最高のコンディションに保ちたいとお考えの方は、ぜひ以下のリンクから詳細をご確認ください。皆様の信頼に全力で応える、心のこもった最高のメンテナンスを提供することをお約束いたします。

「ランゲアンドゾーネのオーバーホール」のことでお困りの方は「はらじゅく時計宝石修理研究所」にお任せください。
1級時計修理技能士が時計・ジュエリーに眠る思い出とともに再生させます。

はらじゅく時計宝石修理研究所 公式サイトはこちら

 この記事を書いた人        

⚪︎⚪︎のアバター 天野 一啓 はらじゅく時計宝石修理研究所 店長

2018年4月に時計宝石修理研究所へ入社。現在は「はらじゅく時計宝石修理研究所」の店長として、店舗運営と接客、修理対応を担う。厚生労働省認定の国家時計修理技能士資格を取得し、大阪府から時計技能最高優秀賞を受賞。

お客様の大切な想い出が詰まった時計やジュエリーに向き合い、安心して預けられる存在を目指す。スイスの老舗時計工具メーカー・BERGEON(ベルジョン)とのコンセプトショップも展開し、時計修理の魅力発信にも注力。

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