キングセイコーのオーバーホールはどこがいい?東京でおすすめの修理店や料金を解説

キングセイコーは、日本の時計メーカーであるセイコーがかつて製造していた高級腕時計ブランドです。1960年代から80年代です。キングセイコーは、その高い精度と洗練されたデザインで多くの時計愛好家から支持されています。キングセイコーを所有している方のなかには「定期的なメンテナンスは必要なのだろうか」「どこに修理を依頼すればよいのだろうか」と悩んでいる方もいるでしょう。今回は、キングセイコーを修理に出す前に知っておくべき基本的な知識や、モデル別の修理ポイントについて解説します。

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この記事でわかること

  • キングセイコーの修理を依頼できる正規サービスと時計修理専門店について
  • キングセイコーの修理でよくある症状や料金の目安
  • キングセイコーの主要モデルの特徴と修理時の注意点
  • 東京で信頼できる修理専門店として「はらじゅく時計宝石修理研究所」の紹介
目次

キングセイコー修理を依頼する先の選び方

  • アンティークモデルの修理で重要なこと
  • 正規サービスと修理専門店の違い
  • 修理にかかる料金と納期の一般的な目安
  • 持ち込みに便利な東京の専門店
  • キングセイコー 修理でよくある症状

アンティークモデルの修理で重要なこと

アンティークのキングセイコーを修理する際、最も重要なのはオリジナリティの維持です。1960年代から1970年代に製造されたこれらの時計は、歴史的な価値が高く、部品一つひとつがその価値を構成しています。そのため、修理の際にはできる限りオリジナルの部品を活かすことが求められます。

しかし、製造から数十年が経過しているため、交換部品の入手は非常に困難です。特に、文字盤や針、ケースといった外装部品は、その時計の顔とも言える部分であり、安易に社外品に交換すると価値を大きく損なう可能性があります。腕の良い修理店では、破損した部品を交換するのではなく、熟練の技術で修復・再生(リペア)してくれることもあります。

また、ムーブメント内部の小さな歯車なども、摩耗や損傷が見られる場合があります。これらの部品も、代替品がない場合は一から作り直す「部品製作(別作)」という高度な技術が必要になることも少なくありません。アンティーク時計の修理を依頼する際は、こうした特殊な修理に対応できるかどうか、お店の実績や技術力を見極めることが不可欠です。

注意点

アンティーク時計の修理では、価値を維持するために「何を交換し、何を修復するか」を事前に修理店の技術者と綿密に相談することが重要です。特に、文字盤のリダン(再塗装)は、時計のオリジナル性を損なう可能性があるため、慎重に判断する必要があります。


正規サービスと修理専門店の違い

キングセイコーの修理を依頼する場合、主な選択肢として「セイコーの正規サービス」と「独立した時計修理専門店」の2つがあります。それぞれにメリットとデメリットがあるため、時計の状態や何を重視するかによって選び分けるのが良いでしょう。

正規サービスのメリットとデメリット

セイコーの正規サービスを利用する最大のメリットは、メーカー純正部品を使用した確実な修理が受けられることです。作業はメーカーの基準に沿って行われるため、品質に対する安心感は非常に高いと言えます。また、修理後にはメーカー保証が付くのも大きな利点です。

一方で、デメリットも存在します。特に、古いアンティークモデルの場合、部品の保有期間(一般的に製造終了後7~10年)を過ぎていると、修理を受け付けてもらえないことがあります。また、修理が可能な場合でも、部品交換が前提となることが多く、オリジナルの状態を維持したいという要望に応えられないケースも少なくありません。料金も修理専門店に比べて高額になる傾向があります。

時計修理専門店のメリットとデメリット

時計修理専門店は、正規サービスで対応が難しい古いモデルの修理にも柔軟に対応してくれる場合が多いのが最大のメリットです。経験豊富な職人が在籍している店舗では、部品の修復や製作(別作)といった高度な技術で対応してくれることもあります。また、料金も正規サービスに比べてリーズナブルなことが多いです。

しかし、デメリットとしては、店舗によって技術力に大きな差がある点が挙げられます。そのため、信頼できるお店を選ぶことが非常に重要です。実績や口コミ、保有する資格(時計修理技能士など)を確認し、大切な時計を安心して任せられるかどうかを慎重に見極める必要があります。

正規サービス 時計修理専門店
メリット 純正部品による修理、メーカー保証、安心感 アンティークモデルへの対応力、柔軟な修理方法、比較的リーズナブルな料金
デメリット 部品保有期間を過ぎると修理不可の場合がある、料金が高め、部品交換が基本 店舗による技術力の差が大きい、お店選びが重要

どちらを選ぶかは、お持ちのキングセイコーの状態と、何を最も重視するかによります。2022年以降に復刻された現行モデルであれば正規サービスが安心ですが、ヴィンテージモデルでオリジナリティを保ちたい場合は、実績のある修理専門店に相談するのがおすすめです。


持ち込みに便利な東京の専門店

キングセイコーの修理を検討している方にとって、直接店舗に持ち込んで相談できるのは大きな安心材料です。特に、価値の高いアンティークウォッチの場合、時計の状態を直接見てもらいながら、修理の方針を相談できるメリットは大きいでしょう。

東京には、時計修理専門店が数多く存在します。中でも、時計修理の激戦区である御徒町や、ファッションの最先端である渋谷エリアには、経験豊富な職人が在籍する信頼できる店舗が見つかります。

東京で修理店を選ぶ際のポイント

東京でキングセイコーの修理店を選ぶ際は、以下の点を確認することをおすすめします。

  • 国家資格「時計修理技能士」の有無: 技術力を測る一つの指標になります。
  • 修理実績: その店舗が過去にキングセイコーの修理をどれだけ手掛けているか、特に同系統のモデルの修理事例があるかを確認しましょう。
  • 設備: 精密な作業を行うための最新設備が整っているかも重要です。
  • 見積もりの明確さ: 修理内容と料金について、事前に詳細な見積もりを提示してくれるかどうかも信頼できる店舗の条件です。

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キングセイコー 修理でよくある症状

長年愛用されているキングセイコーには、経年劣化による特有の症状が現れることがあります。ここでは、修理依頼でよく見られる代表的な症状とその原因について解説します。これらの症状が見られたら、早めに専門店に相談することをおすすめします。

時間の遅れ・進み
機械式時計で最も一般的な症状です。内部の潤滑油の劣化や汚れ、ゼンマイのヘタリなどが原因で精度が落ちてきます。定期的なオーバーホールで改善可能です。

時計が止まる
ゼンマイが切れてしまったり、歯車の軸が摩耗・破損したりすると、時計は完全に停止してしまいます。特にアンティークのキングセイコーでは、ゼンマイ切れは比較的多いトラブルの一つです。

リューズ操作の不具合
時刻合わせやゼンマイの巻き上げを行うリューズは、操作頻度が高いため摩耗しやすい部品です。リューズが抜ける、空回りするといった症状は、内部の巻真やオシドリといった部品の不具合が考えられます。

カレンダーの不具合
後述する56系のキングセイコーに特に多いトラブルですが、日付や曜日の表示が切り替わらない、または早送り機能が使えないといった症状です。これは内部のプラスチック部品の破損が原因であることがほとんどです。

内部のサビに注意

リューズや裏蓋のパッキンが劣化すると、内部に湿気が侵入し、ムーブメントにサビが発生することがあります。サビは部品の腐食や固着を引き起こし、修理が困難になる場合もあるため、少しでも水の侵入が疑われる場合はすぐに点検に出しましょう。


モデル別キングセイコー修理のポイント

  • 45系ハイビートムーブメントの特性
  • 伝説の名機44-9990のメンテナンス
  • 56系で頻発するカレンダーの故障
  • 日付送りが不能になる原因と対処法
  • 確実なキングセイコー 修理なら専門店へ

45系ハイビートムーブメントの特性

キングセイコーの中でも特に評価が高いのが、「45KS」と称されるCal.45系を搭載したモデルです。このムーブメントは、毎時36,000振動という「ハイビート」仕様が特徴で、当時のスイス製クロノメーターを凌駕するほどの高い精度を誇りました。現在でもその滑らかな秒針の動きは多くのファンを魅了しています。

しかし、この高性能には代償も伴います。振動数が高いということは、それだけ部品の摩耗が早く進むことを意味します。特に、動力の伝達に関わる輪列(歯車)や脱進機(アンクル、ガンギ車)への負担が大きいため、定期的なメンテナンスが欠かせません。油切れの状態で使用を続けると、部品の摩耗が急速に進行し、修理が困難になるケースもあります。

45KSのオーバーホールでは、これらの摩耗しやすい部品の状態を細かくチェックし、適切な注油を行うことが極めて重要です。また、ゼンマイのトルクも強いため、香箱(ゼンマイを格納するパーツ)の摩耗にも注意が必要です。これらの特性を熟知した、経験豊富な技術者に依頼することが、45KSの性能を維持する鍵となります。


伝説の名機44-9990のメンテナンス

「44キングセイコー」、特に型番44-9990は、キングセイコーの中でもアイコニックな存在です。「KSK」の愛称で親しまれる2代目キングセイコーのデザインを確立したモデルであり、そのシャープで平面的なケースデザインは、現在の復刻モデルにも受け継がれています。

このモデルに搭載されている手巻きムーブメントCal.44Aは、ハック機能(秒針規制装置)を備えており、実用性と信頼性の高い名機として知られています。メンテナンスにおいては、比較的オーソドックスな構造であるため対応しやすい部類に入りますが、やはり製造から半世紀以上が経過しているため、部品の経年劣化は避けられません。

特に注意したいのがゼンマイの劣化です。長年の使用により金属疲労で切れてしまうことがあり、修理の際には交換が必要となるケースが多いです。また、リューズパッキンの劣化による湿気の侵入も懸念されるため、オーバーホールの際にはパッキン交換が必須となります。44-9990の美しいケースデザインを損なわないよう、研磨(ポリッシュ)については、エッジを丸めすぎない熟練の技術が求められます。

豆知識:諏訪精工舎と第二精工舎

グランドセイコーが主に長野県の「諏訪精工舎」で製造されたのに対し、キングセイコーは東京の「第二精工舎(亀戸工場)」で開発・製造されました。この二つの拠点が互いに技術を競い合ったことが、1960年代のセイコーの飛躍的な技術向上につながったと言われています。


56系で頻発するカレンダーの故障

「56キングセイコー」は、自動巻きムーブメントCal.56系を搭載し、キングセイコーの中でも生産数が多く、現在でも比較的手に入りやすいモデルです。高い実用性と優れた精度を両立した名機ですが、構造的に弱点とされる部分があります。それがカレンダーの早送り機能です。

56系のカレンダー早送り機構には、プラスチック製の「揺動レバー(日・曜修正伝え車)」という部品が使われています。このプラスチック部品が経年劣化により非常に脆くなっており、破損しやすいのです。特に、カレンダーが自動で切り替わる時間帯(一般的に午後9時から午前3時頃)にリューズで日付の早送り操作を行うと、高い確率でこの部品が破損してしまいます。

この故障が発生すると、カレンダーの早送りができなくなったり、日付や曜日が正常に切り替わらなくなったりします。56キングセイコーを扱う上で、この「時間帯によるカレンダー操作の禁止」は絶対に守るべきルールと言えるでしょう。


日付送りが不能になる原因と対処法

前述の通り、キングセイコー56系の日付送り(カレンダー早送り)機能が不能になる主な原因は、プラスチック製の揺動レバーの破損です。この部品が破損すると、リューズを操作してもカレンダーディスクに力が伝わらなくなり、空回りする状態になります。

この問題を解決するには、部品交換しかありません。幸いなことに、この問題は非常に有名なため、セイコーから金属製の対策部品が供給されていました。現在でも、修理専門店によってはこの対策部品のストックを持っている場合があります。もし対策部品が入手できれば、それに交換することで、今後同じ箇所の故障リスクを大幅に減らすことが可能です。

しかし、この対策部品も在庫が尽きつつあり、入手が困難になってきています。そのため、店舗によっては独自の技術で破損した部品を修復したり、金属で新たな部品を製作したりして対応することもあります。56キングセイコーの日付送り不良を修理に出す際は、どのような方法で修理するのか(対策部品への交換か、修復か)を事前に確認することが重要です。

万が一、日付送り機能が壊れてしまっても、針を24時間分回せば日付は変わります。少し手間はかかりますが、修理が完了するまでの応急処置として覚えておくと良いでしょう。ただ、根本的な解決にはオーバーホールと部品交換が必要です。


確実なキングセイコー 修理なら専門店へ

キングセイコーは、日本の時計製造史において重要な位置を占める、非常に価値のある時計です。現行モデルから貴重なアンティークまで、その価値を長く保ち、快適に使用し続けるためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。特に、製造から数十年が経過したアンティークモデルの修理には、専門的な知識と高度な技術が求められます。

キングセイコーの修理まとめ

  • キングセイコーは1960年代から70年代に製造されたセイコーの高級腕時計
  • アンティークモデルの修理はオリジナリティの維持が重要
  • 修理依頼先には正規サービスと時計修理専門店の2つの選択肢がある
  • 正規サービスは純正部品での修理に安心感があるが、古いモデルは対応不可の場合も
  • 時計修理専門店は古いモデルにも柔軟に対応できるが、技術力に差があるため店選びが重要
  • 東京には信頼できる修理店が多く、持ち込みでの相談がしやすい
  • よくある故障は、時間のズレ、停止、カレンダーの不具合など
  • 45系はハイビートゆえに部品の摩耗が早く、定期的なOHが不可欠
  • 44-9990はゼンマイ切れやパッキン劣化に注意が必要
  • 56系はカレンダーの早送り機構のプラスチック部品が破損しやすい弱点がある
  • 日付送りが不能になった場合、金属製の対策部品への交換が望ましい
  • 部品が入手困難な場合、部品の修復や製作(別作)ができる専門店を選ぶ必要がある
  • 信頼できる専門店を見つけるには、資格や修理実績の確認が大切
  • 東京で修理の依頼なら「はらじゅく時計宝石修理研究所」にお任せ。
  • 大切なキングセイコーの修理は、時計の状態や自身の要望に合わせて最適な依頼先を選ぶことが肝心

特に、44-9990のような歴史的価値の高いモデルや、45系、56系といった特有のウィークポイントを持つモデルの修理は、その構造を熟知した経験豊富な技術者に任せるのが最善です。

東京・渋谷エリアで修理をお考えなら、JR原宿駅から徒歩1分とアクセス抜群の「はらじゅく時計宝石修理研究所」にご相談ください。国家資格を持つ時計修理技能士が、あなたの愛用の時計を丁寧に診断し、最適なメンテナンスをご提案します。他店で断られた修理にも対応可能な場合がありますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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 この記事を書いた人        

⚪︎⚪︎のアバター 天野 一啓 はらじゅく時計宝石修理研究所 店長

2018年4月に時計宝石修理研究所へ入社。現在は「はらじゅく時計宝石修理研究所」の店長として、店舗運営と接客、修理対応を担う。厚生労働省認定の国家時計修理技能士資格を取得し、大阪府から時計技能最高優秀賞を受賞。

お客様の大切な想い出が詰まった時計やジュエリーに向き合い、安心して預けられる存在を目指す。スイスの老舗時計工具メーカー・BERGEON(ベルジョン)とのコンセプトショップも展開し、時計修理の魅力発信にも注力。

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