ロジェデュブイのオーバーホール料金と頻度を解説

こんにちは。はらじゅく時計宝石修理研究所、店長の天野 一啓です。

ロジェデュブイのオーバーホールについてお調べですね。「ハイパーオロロジー(至高の時計製造)」とも呼ばれるロジェデュブイですが、その繊細さゆえに、メンテナンスの料金や適切な頻度がどれくらいか、気になっている方も多いと思います。正規のブティック、例えば銀座のお店に頼むべきか、それとも専門の修理店でもっと安い費用で対応できるのか、迷うところですよね。特にエクスカリバーやスケルトンモデルのような複雑な時計だと、壊れやすいのではないかという不安や、修理の価格が想像もつかない、というお声も耳にします。

この記事では、ロジェデュブイのオーバーホールに関するそうした疑問について、時計修理に携わる私の視点からポイントを解説していこうかなと思います。

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この記事でわかること

  • ロジェデュブイのオーバーホール推奨頻度
  • 正規サービスと専門店の特徴と選び方
  • モデル別のオーバーホール料金に関する情報
  • 依頼する際の注意点
目次

ロジェデュブイのオーバーホールの必要性

ロジェデュブイ オーバーホールの必要性

まずは、なぜロジェデュブイにオーバーホールが必要なのか、その根本的な理由や推奨される頻度について見ていきましょう。このブランドの時計は、他の時計とは少し違う特別な注意が必要かもしれませんね。

壊れやすい?ムーブメントの仕組み

「ロジェデュブイは壊れやすいですか?」と聞かれることがありますが、これは少し誤解があるかなと思います。正しくは、「比較できないほど極めて精巧で繊細に作られている」ですね。

ロジェデュブイの多くのモデルは、スイスの時計製造における最高品質の証である「ジュネーブ・シール」を取得しています。これは、ムーブメントの精度だけでなく、パーツ一つひとつの仕上げ、つまり芸術的な装飾にまで厳格な基準を設けている証なんです。

また、ブランドの象徴ともいえる「スケルトンムーブメント」は、機能と美観を両立させるために極限まで構造が切り詰められています。美しく見える反面、それだけ各パーツにかかる負担や、外部からの影響(例えば湿気など)にはデリケートにならざるを得ません。

ですから、「壊れやすい」のではなく、「その至高の芸術性を維持するために、堅牢性は追及していない」というのが私の見解です。

修理を怠るリスクと故障

では、もしその繊細な時計のオーバーホールを怠ってしまうと、どうなるでしょうか。これはロジェデュブイに限りませんが、機械式時計は潤滑油によってパーツの摩擦を防いでいます。

この油が時間と共に劣化したり乾いたりすると…

  1. 精度の低下: まず、時計の進みや遅れが目立つようになります。
  2. 部品の摩耗: 油が切れた状態で動き続けると、歯車などの金属部品が直接擦れ合い、摩耗していきます。
  3. 重大な故障と高額修理: 摩耗が限界に達すると、時計は止まります。この段階では、単なるオーバーホール(分解洗浄)では済まず、高額な部品交換が必須となってしまいます。

【注意】潤滑油は使わなくても劣化します

「あまり使っていないから大丈夫」と思われるかもしれませんが、潤滑油は空気に触れることでも酸化し、劣化が進みます。高額な部品交換費用を避けるためにも、「動いているからOK」ではなく「一定期間が経過したらメンテナンス」という考え方が重要ですね。

(もしオーバーホールを長期間しなかった場合どうなるか、より詳しくは「10年間オーバーホールしなかった時計はどうなってしまうのか?」の記事でも解説していますので、参考にしてみてください。)

メーカー推奨のメンテナンス頻度

メンテナンスの重要性はお分かりいただけたかと思いますが、じゃあ「どのくらいの頻度で?」というのが次の疑問ですよね。

ここで少し面白いのが、メーカー(ロジェデュブイ)と、私たちのような修理専門店の推奨する内容が少し異なる点です。

  • メーカー公式の推奨: 「2年ごと」に正規サービスセンターで「防水性」を点検すること。
  • 一般的な修理専門店の推奨: 「3年〜4年ごと」にムーブメント内部の「オーバーホール」を行うこと。

これはどちらが正しいというわけではなく、目的が違うんですね。

【結論】2つのメンテを組み合わせるのが理想

▼2年ごとの「防水点検」(メーカー推奨)
これは、パッキンの劣化による「水分の侵入」という、時計にとって突発的で致命的なダメージ(錆び)を防ぐための「外部からの防衛」です。

▼3〜4年ごとの「オーバーホール」(専門店推奨)
これは、油の劣化や内部摩耗といった「内部の経年劣化」をリセットするための「内部の健康診断」です。

ロジェデュブイの価値を長く維持するためには、この2つを組み合わせて考えるのが、最も賢明な方法かなと私は思います。

依頼先:銀座 ブティック(正規)

オーバーホールを決めたら、次は「どこに頼むか」です。まず思い浮かぶのが、正規店ですよね。

銀座などの直営ブティックに持ち込むこともできますが、実際の作業はサービスセンター(現在は麹町)で行われる流れが一般的です。

【正規サービスのメリット】

  • 絶対的な信頼性: ジュネーブ・シール基準を完璧に理解した技術者による作業が保証されます。
  • 純正部品の保証: 交換部品は100%純正品です。
  • 資産価値の維持: 正規サービスでの修理履歴は、将来的な資産価値の証明にもなります。

【正規サービスのデメリット(傾向)】

  • 費用: 一般的に、専門の修理店と比べて高額になる傾向があります。
  • 納期: スイス本国での修理(本国送り)となった場合、数ヶ月単位、場合によっては半年以上かかることもあり得ます。

「何よりも安心と品質、ブランド価値を最優先したい」という方には、正規サービスが最適な選択肢だと思います。

依頼先:専門の修理店舗

もう一つの選択肢が、私たちのような独立系の時計修理専門店です。

【専門の修理店舗のメリット(傾向)】

  • 費用の柔軟性: 正規サービスと比較して、オーバーホール費用を抑えられる可能性があります。
  • 納期の短縮(可能性): 部品交換が国内で完結する場合、正規より早く仕上がることが多いです。
  • 相談のしやすさ: 店舗で直接、時計の状態を見ながら相談できる気軽さがありますね。

【専門の修理店舗のデメリット(傾向)】

  • 技術力の差: 最大のリスクは、お店によって技術力に大きな差があることです。
  • 部品の調達: 純正部品の調達が困難な場合があり、修理不可となったり、代替部品での対応を提案されたりする可能性もゼロではありません。

もし専門店を選ぶ場合は、「ロジェデュブイの作業実績」を必ず確認してください。

(正規店と修理専門店の一般的な違いについては、「時計のオーバーホールはどこで?正規店と専門店の料金・選び方」の記事も参考にしてみてください。)

東京・渋谷エリアで修理をお考えなら、JR原宿駅から徒歩1分とアクセス抜群の「はらじゅく時計宝石修理研究所」にご相談ください。国家資格を持つ修理技能士が、あなたの愛用の時計を丁寧に診断し、最適なメンテナンスをご提案します。他店で断られた修理にも対応可能な場合がありますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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ロジェデュブイのオーバーホールの費用

ロジェデュブイ オーバーホールの費用

それでは、次に最も気になるであろうオーバーホールの費用について、もう少し詳しく見ていきましょう。モデルによっても注意点が異なりますよ。

モデル別の価格相場と料金

ロジェデュブイのオーバーホール料金を調べると、多くの修理店で「ASK(要見積もり)」となっていることに気づくと思います。

これは価格を隠しているわけではなく、本当に「個体差が大きすぎて一律の価格を出せない」というのが実情なんです。なぜなら、ムーブメントの複雑さがモデルによって全く違う上に、時計内部の状態(油の劣化だけか、部品摩耗まで進んでいるか)で、必要な作業が天と地ほど変わってくるからです。

【補足】基本料金に含まれるもの・含まれないもの

一般的に「オーバーホール基本料金」に含まれるのは、以下の作業です。

  • ムーブメントの分解、洗浄、注油、組立、精度調整
  • 防水検査(パッキン交換含む)

以下の項目は、基本料金には含まれず、別途費用となることがほとんどです。

  • 交換部品代: 摩耗や破損した歯車、ゼンマイ、リューズなどの部品代
  • 外装研磨(新品仕上げ): ケースやブレスレットの傷を取り除く作業

(一般的な時計のオーバーホール相場については、「時計のオーバーホールの値段・相場はどれくらいか?」の記事で解説しています。)

エクスカリバーの修理事例

例えば、ロジェデュブイの代表的なコレクションである「エクスカリバー」。これは多くの修理店で「複雑モデル」として扱われます。

ムーブメントの構造が複雑なため、基本料金自体が他のシンプルな時計より高く設定されていることがほとんどです。さらに、クロノグラフ機能などが付いていれば、料金は上がっていきます。

修理実績を見ると、オーバーホールとは別料金の「外装研磨」だけで40,000円(税抜)〜といった事例もあり、オーバーホール本体の料金(ASK)と合わせると、それなりの金額になることが予想されますね。

ゴールデンスクエアの事例

非常に分かりやすい価格差の事例として「ゴールデンスクエア」があります。これはジュネーブ・シール取得モデルの代表格ですね。

過去の修理事例を見てみると、同じモデルでも価格に大きな差が出ているケースがあります。

モデル 修理内容 価格(目安) 納期 状態・コメント
ゴールデンスクエア オーバーホール 約9万円台 約6週間 状態良好。定期メンテナンスでの依頼。
ゴールデンスクエア オーバーホール 約18万円台 約3ヶ月 (状態良好との記載なし)

※ご注意ください

上記の価格や納期は、あくまで過去の事例に基づく参考情報です。実際の料金は、時計の状態や店舗、時期によって大きく変動します。正確な金額は必ず見積もりでご確認ください。

スケルトンモデルの注意点

ジュネーブ・シールと並んで、ロジェデュブイのメンテナンスを難しくしているのが「スケルトンモデル」の存在です。

スケルトンモデルは、ご存知の通りムーブメントが「常に見える」構造ですよね。これが技術者泣かせなんです(笑)。

通常の時計なら、文字盤の裏側やムーブメントの受けの裏に、機能上問題ないレベルの微細なチリや洗浄ムラが残っていても、外からは見えません。しかし、スケルトンは全てが「丸見え」です。

そのため、スケルトンモデルのオーバーホールは、機能の回復と同時に、「寸分の妥協も許されない美観の回復」が求められます。これには、通常のムーブメント以上に高度な洗浄技術と、細心の注意が必要となります。

ロジェデュブイのオーバーホールは専門店へ

ここまで、ロジェデュブイのオーバーホールについて解説してきました。

「ハイパーオロロジー」と呼ばれる芸術品を維持するには、やはり特別なケアが必要だということがお分かりいただけたかなと思います。

依頼先として、絶対的な安心と品質、資産価値の維持を最優先するなら「正規サービス(リシュモン)」が最善の選択です。費用や納期がどれだけかかっても、その価値はあると思います。

一方で、「費用も抑えたい」「もう少し気軽に相談したい」という場合は、信頼できる修理専門店も選択肢になります。ただし、その場合は必ず「スケルトン」モデルの具体的な修理実績があるお店を選んでください。

ロジェデュブイのオーバーホールでお悩みなら

私たち「はらじゅく時計宝石修理研究所」でも、もちろんロジェデュブイのオーバーホールを承っております。

大切な時計の価値を未来に繋ぐお手伝いができると嬉しいです。

東京・渋谷エリアで修理をお考えなら、JR原宿駅から徒歩1分とアクセス抜群の「はらじゅく時計宝石修理研究所」にご相談ください。国家資格を持つ修理技能士が、あなたの愛用の時計を丁寧に診断し、最適なメンテナンスをご提案します。他店で断られた修理にも対応可能な場合がありますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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 この記事を書いた人        

⚪︎⚪︎のアバター 天野 一啓 はらじゅく時計宝石修理研究所 店長

2018年4月に時計宝石修理研究所へ入社。現在は「はらじゅく時計宝石修理研究所」の店長として、店舗運営と接客、修理対応を担う。厚生労働省認定の国家時計修理技能士資格を取得し、大阪府から時計技能最高優秀賞を受賞。

お客様の大切な想い出が詰まった時計やジュエリーに向き合い、安心して預けられる存在を目指す。スイスの老舗時計工具メーカー・BERGEON(ベルジョン)とのコンセプトショップも展開し、時計修理の魅力発信にも注力。

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