ベル&ロスのオーバーホール完全ガイド:料金とお店の選び方

こんにちは。はらじゅく時計宝石修理研究所、店長の天野一啓です。
ベル&ロスの時計、かっこいいですよね。「計器」としてのデザイン哲学が詰まっていて、私も大好きなブランドの一つです。そんな愛用のベル&ロスも、長く使っているとメンテナンスが必要になります。
「ベル&ロス オーバーホール」と検索されたあなたは、おそらく「オーバーホールの料金はいくらくらい?」「正規サービスと修理専門店では、どう違うの?」「並行輸入品だと修理が高くなるって本当?」といった疑問や、メンテナンスの頻度や修理にかかる期間について知りたいと思っているのではないでしょうか。
特に料金の比較や、並行輸入品の扱いについては、どこに頼むべきか悩ましいポイントかなと思います。この記事では、そんなベル&ロスのオーバーホールに関する様々な疑問にお答えしながら、あなたにとって最適な依頼先を見つけるお手伝いをしていきますね。
東京・渋谷エリアで修理をお考えなら、JR原宿駅から徒歩1分とアクセス抜群の「はらじゅく時計宝石修理研究所」にご相談ください。国家資格を持つ修理技能士が、あなたの愛用の時計を丁寧に診断し、最適なメンテナンスをご提案します。他店で断られた修理にも対応可能な場合がありますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
この記事でわかること
- オーバーホールがなぜ必要なのかという基本知識
- 正規サービスと独立した修理専門店の違い
- 気になる料金や納期、並行輸入品の扱い
- 後悔しないための優良な専門店の選び方
ベル&ロスのオーバーホール基礎知識

まずは、「そもそもオーバーホールって何?」という基本的なところからお話ししますね。なぜ時計にメンテナンスが必要なのか、その理由を知っておくだけでも、時計への愛着がさらに深まるかもしれません。
オーバーホールとは?その必要性
オーバーホールは、日本語で言うと「分解掃除」のことです。これは、時計が受けられるメンテナンスの中で、最も本格的で包括的な作業になります。
簡単に言えば、時計の心臓部である「ムーブメント」を、ネジや歯車といった小さな部品一つひとつのレベルまで完全に分解し、専用の機械と洗浄液でキレイに洗い上げます。そして、摩耗している部品があれば交換し、再び組み立てながら、部品の動きを滑らかにするための新しい「潤滑油」を注していくんです。
車で言えば、数年に一度の徹底的なエンジンルームの点検・整備、といったイメージが近いかもしれませんね。
もし、このオーバーホールを怠ってしまうと、時計の内部では静かに問題が進行します。
オーバーホールをしないとどうなる?
- 潤滑油の劣化
時計内部の油は、時間と共に蒸発したり、酸化してドロドロになったりします。これにより部品同士の摩擦が大きくなります。 - 部品の摩耗
油が切れた状態で歯車が回り続けると、金属同士が擦れ合い、部品が削れてしまいます。これが精度低下や故障の大きな原因になります。 - 防水性の低下
ケースの気密性を保つ「パッキン」というゴム部品も、時間と共に硬くなり、防水性能が落ちます。そこから湿気が入ると、内部の錆びという致命的なダメージにつながることもあります。
こうした事態を防ぎ、時計の性能を新品時に近い状態に戻して、寿命を延ばす。それがオーバーホールの不可欠な役割なんです。
サービス推奨間隔はどのくらい?
では、どのくらいの頻度でオーバーホールをすれば良いのでしょうか。これには、メーカーの公式な見解と、私たちのような修理専門店の現場の感覚で、少し見解が分かれることもありますね。
オーバーホール間隔の目安
- ベル&ロス公式推奨: 4年〜6年ごと
- 修理専門店の推奨: 3年〜4年ごと(機械式の場合)
ベル&ロスの公式サイトでは4年〜6年ごとの点検を推奨しています。これは一つの公式なガイドラインですね。
一方で、多くの修理専門店では、もう少し早めの3年〜4年ごとをおすすめすることが多いです。これは、潤滑油が本格的に劣化し始める前にメンテナンスすることで、部品の摩耗を最小限に抑えたい、という「予防」の観点が強いからなんです。
もちろん、これはあくまで目安です。毎日使う方と、週末だけの方では、時計内部の状態も変わってきますからね。大切なのは、年数だけを気にするより、時計の調子を気にかけてあげることかなと思います。(詳しくは 理想的な腕時計のオーバーホール頻度とは?参考年数を解説 の記事も参考にしてみてください)
推奨期間を過ぎていても、診断してみたら「まだ大丈夫ですよ」ということもありますし、その逆も然りです。まずは専門家に見てもらうのが一番安心ですね。
分解から最終テストまでの流れ
オーバーホールが「分解掃除」だと言われても、具体的に何をしているのか、イメージが湧きにくいかもしれません。ここでは、時計がたどる再生の旅を、ステップ・バイ・ステップで簡単にご紹介します。
- 初期診断と分解
まずは時計の外装や動きをチェックします。その後、ブレスレットや裏蓋を外し、ムーブメントを取り出します。ここからが本番で、数百にもなる部品を一つひとつ丁寧に分解し、摩耗や損傷がないか厳しく確認します。 - 超音波洗浄
分解した部品を専用のバスケットに入れ、特殊な洗浄液と超音波洗浄機で、古い油汚れや金属の粉を徹底的に洗い流します。ケースやブレスレットもピカピカにしますよ。 - 再組立てと精密注油
ここが一番、職人の腕が問われるところです。洗浄・乾燥させた部品を正確に組み上げながら、複数種類のオイルやグリスを、適材適所に、本当に微量だけ注油していきます。多すぎても少なすぎてもダメなんです。 - 歩度調整(精度調整)
ムーブメントが組み上がったら、「タイムグラファー」という専用機器で、時計の進みや遅れ(日差)を測定します。時計の向きを変えながら(姿勢差と言います)、安定した精度が出るようミクロン単位で微調整を繰り返します。 - ケーシングと最終テスト
調整が終わったムーブメントをケースに戻し、新しい防水パッキンを装着して裏蓋を閉じます。防水試験機で気密性をチェックし、最後に数日間、実際に動かし続けて(ランニングテスト)、全ての機能が正常か、精度が安定しているかを確認して、ようやく完了です。
DIY修理の重大なリスクとは
最近はネットで情報が手に入るので、「自分でオーバーホールできないか?」と考える方もいるかもしれません。ですが、これだけはハッキリ言わせてください。絶対に試してはいけません。
ベル&ロスのような高級時計は、本当に微細な部品の集合体です。専門知識と、何より高価な専門工具がない状態での分解は、時計にとって致命的な結果を招く可能性が非常に高いです。
DIY修理の危険性
- ネジを締める力が強すぎただけで、小さな軸が曲がることがあります。
- 息を吹きかけただけで飛んでいってしまうような部品を、一つでも失くしたら終わりです。
- 精度の調整には「タイムグラファー」という専用測定器が不可欠です。
- 一度、ご自身で分解した時計は、メーカーや私たちのような修理店でも、その後の修理を拒否される可能性があります。
数万円の修理費を節約しようとした結果、時計そのものの価値を失ってしまうことになりかねません。大切な時計だからこそ、必ずプロに任せてくださいね。
オーバーホール後の日常ケア方法
オーバーホールでリフレッシュした時計も、日々のちょっとしたケアで、その良いコンディションを長く保つことができます。ぜひ実践してみてください。
日常ケアのポイント
- 衝撃と磁気を避ける
ゴルフやテニスなど、腕に強い衝撃がかかるスポーツの際は外すのが無難です。また、スマートフォンやPC、バッグの留め具など、磁気を発するものに近づけないよう注意してください。時計が磁気を帯びると、時間が大きく進む原因になります。 - 防水性能を過信しない
パッキンは時間と共に劣化します。メーカーも2年ごとの防水性点検を推奨していますね。時計が濡れている時にリューズを操作するのは厳禁です。 - 定期的に動かす
毎日使わない場合でも、時々ゼンマイを巻いて動かしてあげると、内部の潤滑油が固まるのを防げます。 - 汚れを拭き取る
着用後は、柔らかい布で汗や汚れを優しく拭き取ってあげるだけでも、錆びの予防になりますよ。東京・渋谷エリアで修理をお考えなら、JR原宿駅から徒歩1分とアクセス抜群の「はらじゅく時計宝石修理研究所」にご相談ください。国家資格を持つ修理技能士が、あなたの愛用の時計を丁寧に診断し、最適なメンテナンスをご提案します。他店で断られた修理にも対応可能な場合がありますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
ベル&ロスのオーバーホール依頼先の選び方

さて、ここからが本題かもしれません。オーバーホールを「どこに頼むか」という問題ですね。選択肢は大きく分けて「正規サービス」と、私たちのような「独立時計修理専門店」の2つです。それぞれの特徴を知ることが、賢い選択につながりますよ。
正規サービスのメリット・デメリット
まずはメーカーの公式サービス、いわゆる「正規サービス」です。何と言っても、その一番の魅力は「絶対的な安心感」かなと思います。
正規サービスのメリット
- 交換部品は100%メーカー純正品が使われます。
- ブランド専門のトレーニングを受けた技術者が、専用の機材で作業します。
- 作業全体に対して、修理保証(通常1年)が付きます。
- 国内正規店で購入した場合、料金が50%割引になるという強力な特典があります。
一方で、もちろんデメリットというか、知っておくべき点もあります。
正規サービスのデメリット
- 基本料金が、独立専門店と比べて大幅に高額になる傾向があります。
- 納期が長く、3ヶ月〜6ヶ月、あるいはそれ以上かかることも珍しくありません。
- 後述しますが、「並行輸入品」の場合は割引が一切適用されません。
並行輸入品は修理で不利になる?
ここが、ベル&ロスのオーナーさんが一番気にするポイントかもしれません。いわゆる「並行差別」と呼ばれる問題です。
結論から言うと、ベル&ロスの正規サービスでは、並行輸入品(海外での購入品や、国内の正規店以外で購入した時計)に対して、正規店購入品の50%割引が適用されません。
つまり、正規店で買った時計のオーナーが5万円でオーバーホールを受けられるとしたら、並行輸入品のオーナーは定価の10万円(※あくまで例です)を支払う必要がある、ということです。これは、ブランドが正規販売網を守るための戦略であり、仕方がない面もありますね。
初期の購入価格は並行輸入品の方が安いことが多いですが、メンテナンスの段階で、その価格差が逆転してしまう可能性も十分にある、ということです。これは知っておくべき重要な事実です。
独立専門店のメリットとは
対する選択肢が、私たち「はらじゅく時計宝石修理研究所」のような、メーカーとは独立した時計修理専門店です。私たちの強みは、何と言ってもコストパフォーマンスとスピード、そして柔軟性です。
独立専門店のメリット
- 正規サービスの定価(割引なし)と比較して、料金を半分以下に抑えられるケースが多いです。
- 納期が比較的早く、4週間〜6週間程度で完了することが一般的です。
- 購入経路(正規・並行)を問わず、すべてのお客様に同じ料金でサービスを提供します。並行輸入品のオーナーさんにとっては、これが最大のメリットかもしれません。
私たち専門店でも、ムーブメントの主要な部品は純正品や同等品質の部品を安定して入手することが可能なんです。これが、ベル&ロスの修理において、独立専門店が競争力を持てる大きな理由ですね。
気になるオーバーホール料金の相場
では、具体的にどれくらいの料金差があるのでしょうか。あくまで一般的な目安ですが、比較表にまとめてみました。(※外装の研磨(新品仕上げ)は別途料金となることが多いです)
| サービス提供者 | ムーブメント | オーバーホール料金(目安) |
|---|---|---|
| ベル&ロス正規サービス (並行輸入品の定価) |
自動巻き3針 | 77,200円~ |
| ベル&ロス正規サービス (国内正規店購入・50%OFF適用) |
自動巻き3針 | 38,600円~ |
| 独立時計修理専門店 | 自動巻き3針 | 39,800円~ |
| ベル&ロス正規サービス (並行輸入品の定価) |
クロノグラフ | 105,800円~ |
| ベル&ロス正規サービス (国内正規店購入・50%OFF適用) |
クロノグラフ | 52,900円~ |
| 独立時計修理専門店 | クロノグラフ | 59,800円~ |
※上記の料金は2025年1月時点での調査に基づく一般的な目安であり、あくまで参考価格です。時計の状態や必要な交換部品によって、最終的なお見積り金額は変動します。正確な料金は必ず各サービス提供者にご確認ください。
こうして見ると、国内正規店購入の方は、正規サービスに出すのが金銭的にも非常に合理的だと言えますね。一方で、並行輸入品のオーナーさんにとっては、独立専門店が正規サービスの半額近い料金で、魅力的な選択肢になることがお分かりいただけるかと思います。
(時計のオーバーホール料金については 時計のオーバーホールの値段・相場はどれくらいか? の記事でも詳しく解説しています)
優良な独立専門店の見分け方
「じゃあ、独立専門店に頼んでみようかな」と思った時、次に悩むのが「どのお店を選ぶか」ですよね。残念ながら、市場には様々なレベルの工房がありますから、信頼できるお店を見極める基準は知っておいた方が良いです。
優良店を見極める6つの基準
- 技術者の資格
「1級時計修理技能士」という国家資格を持つ技術者が在籍しているか。これは信頼できる一つの大きな指標です。 - 修理実績
ベル&ロスや同等ブランドの修理実績が豊富か、ウェブサイトなどで具体的な修理事例を紹介しているか。 - 見積もりの透明性
時計を預かって診断した後で、明確に見積もりを出してくれるか。キャンセルが可能なかも重要です。 - 部品の方針
「純正部品を使用します」と明確に謳っているか。曖昧な表現のお店は注意が必要かもしれません。 - 保証内容
「半年間~」の修理保証を付けているか。 - 口コミや評判
公式サイトの声だけでなく、第三者のレビューサイトなどで、実際の利用者の評価を確認してみましょう。
これらの点をしっかり確認して、納得できる工房を選んでくださいね。
ベル&ロスのオーバーホールは修理専門店へ
この記事では、ベル&ロスのオーバーホールに関する基本知識から、正規サービスと独立専門店の比較、そして優良店の選び方まで、幅広くお話ししてきました。
結論としては、国内正規店で保証書をお持ちの方は「正規サービス」が、並行輸入品のオーナーさんや、コストとスピードを重視する方は「信頼できる独立専門店」が、それぞれ合理的な選択になるかなと思います。
もし、あなたが後者で、東京の渋谷・原宿エリアで信頼できる修理店をお探しでしたら、ぜひ一度「はらじゅく時計宝石修理研究所」にご相談ください。
東京・渋谷エリアで修理をお考えなら、JR原宿駅から徒歩1分とアクセス抜群の「はらじゅく時計宝石修理研究所」にご相談ください。国家資格を持つ修理技能士が、あなたの愛用の時計を丁寧に診断し、最適なメンテナンスをご提案します。他店で断られた修理にも対応可能な場合がありますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
