ダンヒル時計修理の依頼先は?正規と専門店の違いを解説

こんにちは。はらじゅく時計宝石修理研究所、店長の天野一啓です。
大切なダンヒルの時計が止まってしまったり、調子が悪くなったりした時、調べてはみたものの、どこに依頼すればいいか迷っていませんか?
ダンヒルは高級ブランドグループの一員なので、正規サービスという選択肢がありますが、料金がいくらになるのか、納期はどれくらいかかるのか、情報が少なくて不安に感じるかもしれません。一方で、街の時計修理専門店に持ち込みたいけれど、技術力は本当に信頼できるのか、オーバーホールや電池交換、ベルト交換といった修理の費用は適正なのか、なかなか判断が難しいところですよね。
この記事では、そんなダンヒルの時計修理に関する様々な選択肢を、それぞれのメリットやデメリット、知っておくべき注意点とあわせて、詳しく掘り下げて見ていきたいと思います。オーナー様にとって最適な修理先を見つけるお手伝いができれば嬉しいです。
東京・渋谷エリアで修理をお考えなら、JR原宿駅から徒歩1分とアクセス抜群の「はらじゅく時計宝石修理研究所」にご相談ください。国家資格を持つ修理技能士が、あなたの愛用の時計を丁寧に診断し、最適なメンテナンスをご提案します。他店で断られた修理にも対応可能な場合がありますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
この記事でわかること
- 正規サービスと修理専門店の違い
- メーカー修理の注意点
- 修理内容ごとの料金や納期の目安
- 信頼できる修理専門店の選び方
ダンヒルの時計修理の依頼先の比較

ダンヒルの時計を修理に出すとき、オーナー様の選択肢は大きく分けて「正規メーカーサービス」と「時計修理専門店」の2つがあります。この2つ、単に料金が高いか安いかだけでなく、実は修理に対する根本的な哲学やサービス内容が結構違うんですね。どちらが良い・悪いというわけではなく、オーナー様が「何を最優先するか」によって、最適な選択が変わってくるんです。まずはそれぞれの特徴をしっかり比較してみましょう。
公式の受付方法
ダンヒルは、カルティエやIWC、ジャガー・ルクルトといった名だたる高級時計ブランドを傘下に持つ、スイスの巨大高級ブランドグループの一員です。
修理の基本的な受付窓口は、全国のダンヒルブティックとなります。公式サイトのストア検索などで最寄りの店舗を探し、そこに直接時計を持ち込むのが一番確実な方法ですね。
「郵送で直接センターに送りたい」と思う方もいるかもしれませんが、ダンヒルの公式サイト上では、郵送修理の具体的な案内や申し込みフォームは、他のブランドに比べて見つけにくい印象があります。もし郵送での修理を希望される場合は、ダンヒルのカスタマーサービスに電話やお問い合わせフォームから連絡し、個別に郵送修理の依頼プロセスについて確認する必要がありそうです。
正規サービスの注意点とは
正規サービスは「メーカー純正の安心感」が最大の魅力ですが、利用する前に知っておきたい、いくつかの注意点(リスクとも言えるかもしれません)があります。これはダンヒル特有というより、多くのスイス時計メーカーの正規サービスに共通する慣行のようなものですね。
注意点1:高額な「見積もりキャンセル料」の発生
まず、見積もり依頼に関する費用です。提示された金額や納期に納得できず、「修理しないで返してほしい」とキャンセルした場合、キャンセル料(点検料やスイス送付の場合はその手数料など)を請求されるケースがほとんどです。
注意点2:修理内容の「拒否権」がない
これが一番のポイントかもしれません。正規メーカーでは、修理プロセスにおいて「ブランドが定めた品質基準」をクリアすることが最優先されます。
例えば、オーナー様が「ムーブメントのオーバーホールだけしてほしい」と希望していても、メーカーの技術者が点検して「文字盤にわずかなシミがある」「針に劣化が見られる」と判断した場合、「品質維持のため、文字盤と針の交換も必須です」という見積もりになることがあります。
日本でのメーカー修理の流れ
もし正規サービスを利用する場合、おおよそ以下のような流れで進むことになります。事前にイメージを持っておくとスムーズかなと思います。
- ① ブティックへの持ち込み・受付まず、お近くのダンヒルブティック(百貨店カウンターなど)に時計を持ち込み、「修理(または見積もり)をお願いしたい」と伝えます。ここで時計の状態を簡単に確認し、預かり証が発行されます。
- ② 修理センターへの送付時計は店舗から、リシュモン ジャパンの中央修理センター(カスタマーサービス)へ配送されます。
- ③ 見積もり・納期連絡専門の技術者が時計の状態を詳細に点検します。必要な修理作業、交換部品、その費用、そして納期が算出され、受付したブティック経由(または直接)オーナー様に連絡が入ります。
- ④ オーナー様の承認 → 修理実行オーナー様が提示された見積もり内容を「承諾」すると、正式に修理作業が開始されます。(この承諾後のキャンセルは原則できません)※もし、日本国内で対応できない複雑な修理や、交換部品がスイス本国にしかない場合は、この段階で「スイス本国送り」となり、納期が数ヶ月単位(例:5ヶ月〜6ヶ月以上)になる可能性があります。
- ⑤ 修理完了・店舗へ返送修理が完了し、メーカーの品質チェックを経て、時計が再び受付したブティックへと返送されます。
- ⑥ 受け取り・支払いブティックから修理完了の連絡を受け、店舗で時計を受け取り、修理代金を支払います。
やはり
修理専門店を利用するメリット
一方で、私たち「はらじゅく時計宝石修理研究所」のような、メーカーの正規サービスとは関係なく独立して運営している「時計修理専門店」を利用する選択肢もあります。正規サービスの柔軟性の低さや高額な料金、強制的な部品交換といったリスクを回避できるのが大きなメリットかなと思います。
修理専門店の主なメリット
- 料金:正規メーカーの6割〜7割程度の費用で済むケースが多い。
- 納期:部品の在庫があれば、最短即日〜1ヶ月程度と迅速な対応が期待できる。
- 柔軟性:「オーバーホールだけ」「この部品は交換しないで」といったオーナー様の希望に柔軟に対応可能。
メリット1:コストパフォーマンスの高さ
修理専門店の一番の魅力は、やはり料金ですね。正規メーカーの修理料金は、時計の「販売価格」を基準に設定される傾向がありますが、修理専門店は純粋に「修理の作業内容や難易度」を基準に料金を算出します。そのため、多くの場合、
メリット2:納期の早さ
正規サービスのように、ブティック受付→センター送付→見積もり→承認→修理…といった画一的なプロセスを踏まないため、対応がスピーディーです。特に電池交換やベルト調整など、簡単な作業であれば「即日対応」が可能な場合もありますし、オーバーホールのような時間のかかる作業でも、おおむね1ヶ月程度で完了するケースが多いですね。
メリット3:修理内容の柔軟性
これが正規サービスとの大きな違いかもしれません。修理専門店は、時計を「ブランドの資産」としてではなく、「オーナー様の愛用品」として扱います。したがって、オーナー様の希望が最優先されます。
例えば、「ヴィンテージの風合いを残したいから、文字盤や針は絶対に変えないで、ムーブメントのオーバーホールだけしてほしい」「外装の研磨(傷取り)はしないでほしい」といった、細かな要望に柔軟に対応できるのが強みです。正規サービスで断られがちな「部分的な修理」にも対応できることが多いですね。
東京・渋谷エリアで修理をお考えなら、JR原宿駅から徒歩1分とアクセス抜群の「はらじゅく時計宝石修理研究所」にご相談ください。国家資格を持つ修理技能士が、あなたの愛用の時計を丁寧に診断し、最適なメンテナンスをご提案します。他店で断られた修理にも対応可能な場合がありますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
ダンヒルの時計修理で多い内容

ダンヒルの時計は、英国紳士らしい洗練されたデザインが魅力ですよね。比較的手に取りやすいクォーツモデルから、中にはジャガー・ルクルト製のムーブメントを搭載した本格的な機械式時計まで、実はバリエーションも豊富です。
そんなダンヒルの時計で、私たちのお店にご相談いただくことが多い修理内容は、やはり定期的なメンテナンスである「オーバーホール」や「電池交換」、そしてデザインの要でもある「ベルト周りのトラブル」ですね。それぞれ、どれくらいの費用や期間がかかるのか、具体的な注意点を見ていきましょう。
ダンヒルのオーバーホール料金はいくらですか?
時計の修理で最も基本的かつ重要なのが「オーバーホール(分解掃除)」です。車でいう車検のようなもので、時計を長く健康に使い続けるためには欠かせないメンテナンスですね。
修理専門店でダンヒルの時計をオーバーホールする場合、料金の目安は時計の機構(ムーブメントの種類)によって変わってきます。
【修理専門店】オーバーホール料金 目安 (税込)
| 修理内容 (機構) | 修理専門店の料金目安 (税込) | 正規メーカー参考 (目安) |
|---|---|---|
| オーバーホール(クォーツ・2針/3針) | ¥29,800~ | ¥54,000~ |
| オーバーホール(機械式:自動巻・手巻) | ¥37,500~ | ¥58,400~ |
| オーバーホール(クォーツ・クロノグラフ) | ¥43,000~ | 見積り (高額) |
| オーバーホール(機械式・クロノグラフ) | ¥53,000~ | 見積り (高額) |
※上記はあくまで「基本料金」の目安です。
【重要】必ずご確認ください
上記の表は、あくまで「ムーブメントを分解・洗浄・注油・組立・調整する」という基本作業料の目安です。オーバーホールの過程で、ゼンマイや歯車、リューズなどの部品が摩耗・損傷していて交換が必要と判断された場合は、別途「部品代」が加算されます。
また、正規メーカーの料金は、あくまで一般的な参考価格(他ブランドの同等クラスから推測)であり、実際はこれよりも高額になる可能性があります。正確な料金は、必ず修理を依頼するお店で見積もりを取って確認してください。
オーバーホールは時計内部の古い油を洗い流し、新しい油を差し直すことで、部品の摩耗を防ぐ重要な作業です。これを怠ると、部品同士が傷つけ合い、いずれ「部品交換」が必要になって、かえって高額な修理費用がかかってしまうこともあります。
一般的に、機械式時計で3〜5年に一度、クォーツ式時計でも5〜6年に一度は、オーバーホールを検討していただくのが理想的かなと思います。
電池交換はどこに頼むべきか
ダンヒルの時計は、比較的クォーツ(電池式)モデルも多いですよね。電池が切れた時、「電池交換くらい、どこでやっても同じ」と安易に考えてしまうのは、実はとても危険なんです。
「安いだけ」の電池交換のリスク
街の時計店や家電量販店などで、2,000円〜3,000円程度で安価に電池交換をするところもありますが、その多くは「裏蓋を開けて、電池を入れ替えて、閉めるだけ」という作業です。
この時、防水性を保つための重要なゴム部品「パッキン」が、古いまま交換されません。パッキンはゴム製なので、時間とともに必ず硬化し、弾力を失います。劣化したパッキンのままでは防水性が失われ、内部に湿気や汗、ホコリが侵入し、ムーブメント全体の錆びや故障、文字盤のシミといった
最悪の場合、古い電池を入れっぱなしにして「液漏れ」を起こし、ムーブメント(機械)が丸ごとダメになってしまうケースも少なくありません。
推奨される電池交換の方法
そのため、ダンヒルのようなブランド時計の性能をきちんと維持するためには、「電池交換+パッキン交換+防水テスト」この3点をセットで依頼するのがおすすめです。私たちのお店でも、このセットでの対応を基本としていますね。
ちなみに、正規メーカーサービス(リシュモン)の場合、そもそも「電池交換のみ」という受付はなく、数年に一度の「オーバーホール(分解掃除)」とセットでの対応となるのが一般的です。もちろん費用は数万円単位になります。
「オーバーホールはまだ早いけれど、電池交換はしっかりやっておきたい」という場合こそ、パッキン交換や防水テストまでしっかり行ってくれる時計修理専門店の出番かなと思います。
ダンヒルのベルトの修理は可能か
毎日身につける時計は、ベルト部分が一番傷みやすい箇所でもありますね。「ベルトが壊れた」というご相談も非常に多いです。
正規サービスの場合、ベルトが損傷した場合の対応は、原則として「ベルト全体の交換」を提案されることが多いかなと思います。もちろん純正品なので安心ですが、特に特殊な革ベルトやブレスレットの場合、交換費用が数万円〜十数万円と高額になることもあります。
一方で、修理専門店であれば、状態にもよりますが「部分的な修理」で対応できる可能性があります。
金属ブレスレットの修理
金属ブレスの場合は、「コマとコマをつなぐピンが抜けてしまった」「バックル(中留)の締まりが緩くなった」といったご相談が多いです。これらも、専門店であればピンの再挿入や交換、バックル部分の調整や修理(ロウ付けなど)で対応できることが多いですね。
もちろん、損傷が激しくて修理が難しい場合もありますが、「交換しかない」と諦める前に、一度、修理専門店で「部分修理ができないか」と相談してみる価値は十分にあると思います。
ベルト交換の方法と選択肢
革ベルトが切れてしまったり、全体的にひどく傷んでしまったりして、修理ではなく「交換」が必要になることもあります。この場合の選択肢は、大きく分けて3つですね。
選択肢1:正規店で「純正ベルト」に交換する
メリット:最も安心・確実な方法です。ブランドの価値を損ないませんし、時計のデザインやバランスも新品購入時のまま維持できます。
デメリット:費用が最も高額になります。また、古いモデルだと純正ベルトがすでに「廃盤」になっていて、交換したくてもできないケースもあります。
選択肢2:修理専門店で「社外製ベルト」に交換する
メリット:リーズナブルに交換できるのが最大の魅力です。純正品の半額以下、場合によっては数千円から交換が可能です。また、革の色や素材(カーフ、クロコダイル、リザードなど)をあえて変えて、雰囲気を変えて楽しむこともできますね。
デメリット:品質はピンキリです。信頼できるお店で、時計の格に見合った品質のベルトを選ぶ必要があります。もちろん、ダンヒルのロゴなどは入りません。
選択肢3:修理専門店で「オーダーメイド」する
メリット:「純正ベルトが廃盤になってしまった」「取り付け部分が特殊な形状で、市販の社外製ベルトが合わない」といった場合に最適な方法です。時計に合わせて一から製作するため、完璧なフィット感が得られますし、素材や色、ステッチの色まで自由に選べます。
デメリット:オーダーメイドなので、費用は社外製ベルトより高額になり、納期も数週間〜1ヶ月以上かかります。
ご自身の予算や、時計をどのように使っていきたいか(オリジナル性を保ちたいか、気軽に楽しみたいか)に合わせて、最適な方法を選ぶのが良いと思います。私たちのお店でも、社外製ベルトの販売やオーダーメイドのご相談を承っていますよ。
東京で信頼できる修理店
特に東京は、時計修理店の数が本当に多くて、正直どこを選べばいいか迷ってしまいますよね。私たちも同じ修理業を営む者として、「ここはしっかりした仕事をしているな」と感じるお店には、いくつかの共通点があるように思います。
ダンヒルの時計修理はご相談を
ここまで、ダンヒルの時計修理について、正規サービス(リシュモン)と時計修理専門店の違い、それぞれのメリット・デメリット、そして修理内容別の料金や注意点を見てきました。
改めてポイントを整理すると、
- 「資産価値」と「メーカーの保証」を最優先し、将来的に売却する可能性もあるなら、高額・長期納期を許容して【正規メーカー(リシュモン)】
- 「コスト」と「スピード」を重視し、「愛用品」として柔軟な修理を望むなら、優良店を選んで【時計修理専門店】
という使い分けが、賢明な選択になるかなと思います。
メーカーに断られた時計も、諦めないでください
そして、もう一つ。「ダンヒルの時計修理の依頼先を探されている方の中には、「メーカーに修理を断られてしまった」と困っているオーナー様も少なくないんです。
ダンヒルの時計は歴史が長く、傘下に入る前の古いヴィンテージモデル(1980年代以前など)は、メーカーに「部品がない」という理由で修理を拒否される可能性が非常に高いです。
もし、メーカーから「古い」「部品がない」という理由で修理を断られてしまったり、正規サービスの見積もりが高額すぎて迷っていたり、あるいは古いモデルでどこに頼めばいいか全く分からない…という場合は、ぜひ一度「はらじゅく時計宝石修理研究所」にご相談ください。
私たちは、メーカーが保有していない廃盤部品のストックや、代替部品を探すノウハウを持っている場合があります。古い時計を蘇らせる「最後の砦」として、お役に立てるかもしれません。
大切にされてきたダンヒルの時計を、再び快適に使えるよう、誠心誠意お手伝いさせていただきます。
東京・渋谷エリアで修理をお考えなら、JR原宿駅から徒歩1分とアクセス抜群の「はらじゅく時計宝石修理研究所」にご相談ください。国家資格を持つ修理技能士が、あなたの愛用の時計を丁寧に診断し、最適なメンテナンスをご提案します。他店で断られた修理にも対応可能な場合がありますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
