ティソの腕時計修理はどこで?料金相場と依頼先の選び方を解説

こんにちは。はらじゅく時計宝石修理研究所、店長の天野 一啓です。

スイス時計の入門機として世界中で絶大な人気を誇るティソ(Tissot)。1853年の創業以来、長い歴史の中で培われた技術と、手の届きやすい価格帯で本格的な機械式時計を楽しめる点が魅力ですよね。私も個人的に、コストパフォーマンスにおいてティソの右に出るブランドは少ないと感じています。

しかし、愛用している時計がいずれ直面するのがメンテナンスの問題です。「最近、時間が遅れるようになった」「うっかり落として動かなくなってしまった」……毎日のように使っていれば、こうした不具合は避けて通れません。そんな時、いざティソの腕時計修理に関する情報を調べ始めると、正規サービスの複雑な料金体系や、街中に溢れる修理店の選択肢に戸惑ってしまう方も多いのではないでしょうか。

「正規サービスに頼むのが一番安心だけど、料金が高そうで不安」

「街の時計屋さんなら安いけれど、本当に大切な時計を預けて大丈夫なのか?」

特に東京にお住まいの方や、高級店が立ち並ぶ銀座周辺で修理店を探している方にとって、どのような基準でお店を選べば「安物買いの銭失い」にならずに済むのか、判断が難しいところだと思います。この記事では、長年時計修理の現場に立ち続けてきた私の視点から、ティソユーザーが後悔しないための修理依頼の判断基準を、包み隠さずわかりやすくお伝えします。

東京・渋谷エリアで修理をお考えなら、JR原宿駅から徒歩1分とアクセス抜群の「はらじゅく時計宝石修理研究所」にご相談ください。国家資格を持つ修理技能士が、あなたの愛用の時計を丁寧に診断し、最適なメンテナンスをご提案します。他店で断られた修理にも対応可能な場合がありますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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この記事でわかること

  • ティソ特有のモデル別故障事例と、修理が必要になるタイミングの具体的なサイン
  • 正規サービスと民間の修理工房における料金や対応プロセスの決定的な違い
  • 「部品がないから修理不可」と言われないための、正しい依頼先の選び方とリスク管理術
  • 東京・原宿で私たちが提供している、ユーザーの愛着に寄り添った修理サービスの強み
目次

ティソの腕時計修理が必要な症状と基本知識

ティソは「伝統と革新」をスローガンに掲げるブランドだけあって、非常に先進的な技術を積極的に取り入れています。しかし、その内部構造はクラシックなモデルから最新のハイテクモデルまで多岐にわたり、修理のアプローチもモデルによって全く異なります。まずは、ご自身の時計に起きている症状と、修理に出す前に知っておくべき基礎知識について整理していきましょう。

ティソは壊れやすい?モデル別の注意点

お客様からよく「ティソは壊れやすいのではないか?」というご質問をいただきますが、結論から申し上げますと、ティソは決して壊れやすい時計ではありません。むしろ、同価格帯の他ブランドと比較しても、ケースの作りやムーブメントの信頼性は非常に高く、頑丈な時計と言えます。ただし、人気モデルにはそれぞれ特有の「クセ」や「構造上の弱点」が存在することも事実です。

シースター(Seastar)のリューズ操作は要注意

一方で、ダイバーズウォッチの「シースター」をお使いの方は、リューズの取り扱いに細心の注意が必要です。シースターは防水性を高めるために「ねじ込み式リューズ」を採用していますが、このネジ山が非常にデリケートなのです。

【シースターのリューズ破損リスク】

ねじ込み式リューズを締め込む際、角度がわずかにズレたまま無理に力を加えて回すと、ケース側のチューブ(パイプ)のネジ山があっけなく潰れてしまいます。

ティソの多くのモデルでは、このチューブがケースと一体化しているか、専用工具がないと交換できない構造になっています。そのため、ネジ山が潰れただけで「ミドルケースごとの交換」が必要となり、修理費用が数万円単位で跳ね上がるケースが後を絶ちません。

対策: リューズを締める際は、いきなり時計回りに回さず、まず反時計回りにゆっくり回してください。「カチッ」とネジが噛み合う感触を確認してから、優しく締め込む「バック・スレッディング」を習慣にしましょう。

オーバーホールは何年ごとに行うべきか

機械式時計であれクォーツ時計であれ、時計の内部に使われている潤滑油は、時間の経過とともに必ず劣化・蒸発します。ティソのメーカー推奨や一般的な時計修理の常識として、3年から4年に一度はオーバーホール(分解掃除)をご検討ください。

「まだ動いているから大丈夫だろう」と考えて、5年、6年とメンテナンスを先送りにしてしまうお気持ちはよく分かります

油が切れた状態で使い続けると、歯車の軸が削れ、鉄粉が内部に飛び散ります。こうなると、いざ修理に出した際に「洗浄と注油」だけでは済まなくなり、「内部パーツの全交換」が必要となって、修理代金が倍近くになってしまうことも珍しくありません。定期的なメンテナンスは、長い目で見れば結果としてランニングコストを抑えることにつながるのです。

オーバーホールの詳しい工程や重要性については、当店の以下の記事でも深掘りしていますので、ぜひ併せてご覧ください。

正規の保証期間内なら公式へ依頼する

もし、お使いのティソが正規販売店での新品購入から2年以内(モデルによっては3年等の場合もあり)であれば、迷わずスウォッチグループジャパンの公式カスタマーサービスへ修理を依頼しましょう。これは私たちが商売として修理を請け負っている立場であっても、お客様のために必ずお伝えしている鉄則です。

なぜなら、保証期間内であれば、落下や水入りなどの過失がない「自然故障」は原則として無料で修理してもらえるからです。ここで最も重要なのが、「私たちのような第三者の修理店(非正規店)が裏蓋を開けた瞬間に、メーカー保証は無効になる」という厳しいルールです。

【修理依頼前のチェックリスト】

  • 保証書の有無: 国際保証書(ギャランティカード)の日付を確認してください。
  • 購入ルート: 正規店購入か、並行輸入店購入か確認しましょう(現在は国際保証により差別されることは少なくなりましたが、保証書が有効であることが前提です)。

不具合を感じたら、まずは手元の保証書を探してください。期間内であれば、購入店またはティソ公式サイトからピックアップサービスを申し込みましょう。私たちにご相談いただくのは、保証期間が過ぎてから、あるいは「メーカーの修理見積もりが高すぎた時」でも決して遅くはありません。

ティソ腕時計修理の公式と民間の違い

「メーカー修理」と「民間修理」、それぞれの特徴をより深く理解するために、比較表を作成しました。どちらが良い・悪いという単純な話ではなく、ご自身が何を重視するか(コスト、納期、愛着など)に合わせて選ぶのが正解です。

比較項目 メーカー公式修理(スウォッチグループ) 民間・独立系修理工房
費用感 高め(技術料+安心料) 公式の3〜4割安が相場
納期 通常2〜3ヶ月(スイス送りの場合は半年以上) 4週間(スピーディー)
交換部品 100%メーカー純正部品 純正部品または高品質ジェネリック部品
修理方針 ムーブメント一式交換(アッセンブリー交換)が主流 分解掃除(オーバーホール)による修復・再生が中心
外装研磨 ケース交換を推奨されることが多い 職人の手作業による研磨対応が可能

「アッセンブリー交換」という現代の修理哲学

特筆すべき違いは、修理の方針です。最近のスウォッチグループのメーカー修理は、効率化と品質安定のために、壊れた機械を分解して直すのではなく、「機械ごと新品のムーブメントに入れ替える(アッセンブリー交換)」という対応をとることが非常に増えています。

これは、「心臓部が新品になる」という意味では信頼性が高い素晴らしい対応ですが、一方で「長年時を刻んできた愛着のある機械そのものを残したい」というオーナー様にとっては、少し寂しい選択かもしれません。私たち民間の工房は、できる限り元の部品を一つひとつ洗浄・調整して活かす「職人の手仕事」を大切にしています。

東京・渋谷エリアで修理をお考えなら、JR原宿駅から徒歩1分とアクセス抜群の「はらじゅく時計宝石修理研究所」にご相談ください。国家資格を持つ修理技能士が、あなたの愛用の時計を丁寧に診断し、最適なメンテナンスをご提案します。他店で断られた修理にも対応可能な場合がありますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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ティソの腕時計修理の相場と依頼先の選び方

ティソ 腕時計修理の相場と依頼先の選び方

さて、ここからは皆さんが一番気になる「お金」の話と、実際に修理を依頼する際のお店選びの具体的なポイントについてお話しします。修理料金は安ければ良いというわけではありませんが、相場を知らずに高額な請求を鵜呑みにしてしまったり、逆に安すぎる店に出して時計を壊されたりしないよう、適正価格を知っておくことは自衛のためにも不可欠です。

気になる修理料金と費用の目安

ティソの修理料金は、クロノグラフか3針か、クォーツか機械式かによって大きく異なります。ざっくりとした目安を持っておくと、見積もりを見たときに慌てずに済みます。

まず、メーカー公式(スウォッチグループジャパン)のコンプリートメンテナンスサービスの料金目安ですが、3針の機械式時計で約46,300円、クロノグラフになると約63,900円ほどかかります(※価格は変動する可能性があります)。エントリーモデルを5万円〜7万円で購入された方にとっては、修理代が本体価格の半分以上になり、「これなら買い替えた方がいいのでは?」と悩まれるラインかもしれません。

一方で、私たちのような民間修理工房の相場は以下の通りです。

【民間修理工房の料金目安(オーバーホール基本料)】

  • クォーツ時計(電池式):25,000円 〜 50,000円 前後
  • 機械式(3針・自動巻き/手巻き):35,000円 〜 76,000円 前後
  • 機械式(クロノグラフ):45,000円 〜 85,000円 前後

ご覧の通り、メーカー価格と比較して、およそ30%から40%ほど安く抑えられるケースが多いです。もし部品交換が必要になった場合でも、民間工房なら「使える部品はそのまま使う」という判断ができるため、トータルコストを抑えやすい傾向にあります。浮いた費用で、オプションの外装研磨(ポリッシュ)を追加し、傷だらけになったケースやブレスレットをピカピカの新品同様に仕上げるというお客様もたくさんいらっしゃいますよ。

定期的なベルト交換で時計を長持ちさせる

修理というと、どうしても時計の内部(ムーブメント)のことばかり気にしがちですが、実は「ベルト」も時計の寿命を左右する重要なメンテナンス項目です。

特に革ベルトは、どんなに高級なものでも汗や皮脂を吸い込む消耗品です。ボロボロになったベルトを使い続けると、時計の品格を下げるだけでなく、突然切れて落下事故につながる恐れがあります。また、金属ブレスレットの場合も安心はできません。コマとコマの隙間に黒い汚れ(汗と埃の塊)が溜まると、ステンレスであっても錆が発生し、ピンが腐食して痩せ細り、ある日突然ブレスレットがバラバラになることがあります。

電池交換やオーバーホールのタイミングで、金属ベルトの「超音波洗浄」や、革ベルトの交換を依頼することをお勧めします。当店では、ティソのクラシックなデザインにもスポーティなデザインにも合う、高品質な社外ベルトのご提案も積極的に行っています。

銀座周辺で修理店を探す際のポイント

日本で最も高級時計店が密集する街、銀座。スウォッチグループジャパンのカスタマーサービスが入る「ニコラス・G・ハイエックセンター」も銀座7丁目にあります。もし銀座周辺で修理店を探すなら、以下のポイントをチェックしてみてください。

  • ティソのような「ミドルレンジ」の実績があるか:銀座には数千万円クラスの時計しか扱わないような超高級店もあります。そうした店にティソを持ち込むと、逆に修理代が高くついたり、やんわりと断られたりすることもあります。高級時計だけでなく、ティソのような実用時計も丁寧に扱ってくれる「間口の広い」名店を見極めることが大切です。

銀座は土地柄、どうしても修理価格の基本設定が高めになっているお店もありますが、その分技術力は確かなお店が多いのも事実です。「買い物のついでに持ち込める」というアクセスの良さは、忙しい方にとって大きなメリットですね。

(出典:スウォッチ グループ ジャパン株式会社『会社概要』https://swatchgroup.jp/company

東京で信頼できる修理工房を見つける

東京全体に視野を広げると、修理の選択肢はさらに増えます。上野、御徒町、渋谷、新宿……それぞれの街に個性的な修理店があります。その中で、本当に信頼できる工房を見つけるコツは、ウェブサイトや口コミで「技術者の顔が見えるか」を確認することです。

東京・渋谷エリアで修理をお考えなら、JR原宿駅から徒歩1分とアクセス抜群の「はらじゅく時計宝石修理研究所」にご相談ください。国家資格を持つ修理技能士が、あなたの愛用の時計を丁寧に診断し、最適なメンテナンスをご提案します。他店で断られた修理にも対応可能な場合がありますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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 この記事を書いた人        

⚪︎⚪︎のアバター 天野 一啓 はらじゅく時計宝石修理研究所 店長

2018年4月に時計宝石修理研究所へ入社。現在は「はらじゅく時計宝石修理研究所」の店長として、店舗運営と接客、修理対応を担う。厚生労働省認定の国家時計修理技能士資格を取得し、大阪府から時計技能最高優秀賞を受賞。

お客様の大切な想い出が詰まった時計やジュエリーに向き合い、安心して預けられる存在を目指す。スイスの老舗時計工具メーカー・BERGEON(ベルジョン)とのコンセプトショップも展開し、時計修理の魅力発信にも注力。

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